大飯原発の運転再開 政治判断へ3月23日 18時57分
福井県にある関西電力大飯原子力発電所のストレステストについて、国の原子力安全委員会が一定の評価をする見解をまとめたことを受けて、野田総理大臣は、来週にも、藤村官房長官、枝野経済産業大臣、細野原発事故担当大臣の3人の関係閣僚と協議し、安全性について地元の理解が得られる内容かどうか政治判断を行うことにしています。
その後、来月上旬にも、枝野大臣らが一連の経緯を地元に説明し、理解が得られれば、再び関係閣僚会議を開き、大飯原発の運転再開について最終的な政治判断を行うことにしています。
野田政権は、原発の運転再開にあたっては、安全性を確保することがすべてのことに優先するとして、これまで慎重に手続きを進めてきました。
そのうえで、この夏に安定的に電力を供給することや、緊迫するイラン情勢の行方によっては、発電に必要な原油やLNG=液化天然ガスの輸入価格がさらに値上がりすることなども懸念されることから、安全性が確認できた原発については、運転再開が必要だとしています。
ただ、大飯原発を巡っては、地元や福井県に隣接する滋賀県などから懸念の声が上がっていることに加え、新たな安全対策を担う「原子力規制庁」の発足のめども立っていません。
このため、政府が原発の運転再開に踏み切る場合は、地元をはじめ国民に対し、その理由について、明確で十分な説明が求められることになります。
全国の原発稼働状況は
国内の原発は、54基のうち52基がすでに停止していて、残る2基も、新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発6号機が今月26日に定期検査に入るほか、北海道にある北海道電力泊原発3号機も4月下旬から5月上旬にかけて停止します。
福島第一原発の事故の直前には全国で37基が運転していましたが、このまま運転を再開する原発がなければ、5月上旬までに国内の原発は54基すべてが停止することになります。
一方、電力の需給を巡っては、電力各社は、この冬、需要が供給を上回るおそれがあるとして、去年11月の時点で不足分は、最大で、関西電力で9.5%、九州電力で2.2%になると見込んでいました。
しかし、電力の供給量に対する使用率は、最大で、九州電力は96.7%、関西電力は93%にとどまっています。
ことし夏に原発の運転再開がないときの電力需要のピークについて、政府は、おととし並みの猛暑になった場合には、日本全体でおよそ9%の供給不足が見込まれるとしています。
一方で、去年の夏のような暑さで電気の使用制限を行った場合には、およそ4%の余剰が見込まれ、電力不足にはならないとしています。
これまでのところ、電力会社が見込んでいたような大幅な電力不足には至っていないなかで、政府や電力会社が原発の運転再開にあたり、その必要性をいかに説明していくのかも課題となっています。
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