15日の朝刊に野田政権が最大の課題として掲げる消費税の増税案が出て初めての世論調査の結果が2紙に出ていた。
政府は、消費税を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げる税と社会保障の一体改革の素案を6日に決めた。朝日新聞によると消費税の具体的な案の賛否を世論調査と言う形で聞くのは今回の調査が初めてだと言う。
その意味では国民が今回の消費税アップについてどんな受け止め方をしているのかは興味があった。
15日の朝日新聞の1面の左下に2段見出しでこう出ている。
「消費増税案 反対が57% 内閣支持29% 本社世論調査」
さらに朝日新聞の記事ではこういう説明もあるので紹介しておこう。
「これまで消費増税に比較的理解のあった男性でも賛成は40%で、反対は52%にのぼった。女性は賛成28%、反対61%。首相の足元の民主支持層でも賛成、反対が46%で並んだ」
こうした否定的な数字が出てくる背景には国民の中には国民に痛みを強制するなら政府もそれなりの身を切って、無駄遣いを削除する努力がないと賛成は出来ないよ!!と言う気持ちが漂っているんだと思う。
朝日の記事はこうも続けている。
「消費増税の前提とされる国会議員の定数削減や人件費削減について、首相が削減を『出来ると思う』と応えた人は19%しかなく、『出来ないと思う』が67%を占めた」
これを見る限り消費増税案の反対が57%しかない、と言うのが少し驚きだ。もう少し以前なら消費税のアップには拒否感が強かったように思う。しかし、1000兆円近い財政赤字を財務省発で国民は洗脳されているので「まあ仕方がないかな!?」と言う気持ちが少しずつ芽生えているんだと思う。しかし、それでも消費税を上げる前にやるべきことがあるだろうと言う気持ちは国民の心深くに刻み込まれているのを見逃してはならない。
日本人は、日本と言う国家はこれまで10年先、20年先の税金収入まで先食いして大いなる贅沢をし続けて来たのだ。だからこれだけの世界に類を見ない様な大借金を作ってしまった。それには国民の側にも責任の一端はあると言う自覚は少しはあると思われる。だから、ある程度の消費税アップは認めてもいいかな!?と言う微妙な数字になっているんだと思う。
しかし、上げるにしてもその前にやるべきことがあるだろう!ということなのだ。ここが今の民主党・野田内閣は何処まで分かっているのか?はなはだ疑問だ。このままだと政府側はこれと言う努力を何もしなくてそのまま一気に消費税アップになだれ込んで行くんではないか?私もそんな恐れを抱く。
その時はアメリカやヨーロッパ、中東で行われているようにFacebookによる呼びかけで国民が勝手に街頭に出て反対を叫ぶと言うのも私たち国民側の一つの反対の声を上げる手段だ。日本ではかつては国民の声を政府に届けるために国民が直接街頭に出て「反対」を叫ぶと言うアピールの手段があった、しかし、国が豊かになってからと言うもの、国民は政治に積極的には関わらなくなってしまった。まあ、政治のことは政治家に任せておけばいいんじゃない??何があってもデモはほとんどなく小さなデモがあっても警備する警察官の方が数が多いなんてことが目につく。私が大学生の頃「安保闘争」のような多くの国民を巻き込んだ街頭デモは日本中から消えてしまった。国民が叫ばなくてもいい様な政治になったからなのか?いや、そうではないだろう!!結局日本人が豊かになった結果、そこまで体はって政治にもの申す必要を認めなくなっただけだろうと思う。
今の民主党は確かに自民党よりは懸命に政治をやろうとしているところは見えるんだけど、結局官僚の言いなりになって何一つ民主党の政治家が先頭切って改革を成し遂げようと言う気概が見えないんだ。「コンクリートから人へ」さすが、民主党分かっているじゃない!!私などは大いにそのマニフェストには賛成だった。しかし、現実に民主党の政治は「何処がコンクリートから人へ!じゃあ!?」と悪態つきたくなる様な無様な姿だ。その象徴であった「八ツ場ダム」は野田政権の元で建設が再開されようとしている。今日の朝日新聞が指摘しているもう一つの問題、これもあまり目立たないけれど大変なことだ。
朝日の「天声人語」でこういうことが書いてある。
「年越しのどさくさに紛れて先月末、政府は武器の輸出を原則禁止する『武器輸出三原則』を大きく緩和した。戦後の日本は平和憲法を抱き、不戦の歳月を刻んで来た。三原則はその看板の一つといえる。なのに議論らしい議論もないままの、野田政権の面舵いっぱいである。安全保障や国内の防衛産業に利点はあろう。しかし、三原則で培われて来た『平和国家』のイメージと信頼は軽くない。理念をうっちゃり、ひいては『死の商人』にもなりかねない、なし崩しへの一歩を素知らぬ顔で踏み出した。自民党もこれほど緩めなかった」
こういうことが今の民主党政権下では起きている。
そろそろ国民が街頭に出て「はんたーい!」を叫ぶ時ではないか。
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鳥越 俊太郎
毎日新聞社入社、『サンデー毎日』編集長となり同社退職。テレビキャスターを経て現在はフリージャーナリストとしてテレビなど多方面で活躍中。
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