金正恩氏、軍に「血の粛清」

今年に入ってすでに10人以上の将校を処刑

北朝鮮軍部に何が?

 朝鮮労働党中央軍事委員会の金正恩(キム・ジョンウン)副委員長が、権力を握ると同時に厳しい粛正に乗り出したことが、次々と明らかになっている。人民武力部(国防省に相当)副部長や総参謀長(合同参謀議長に相当)、副総参謀長、現場の軍団長など、10人以上の将校が故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の喪中に飲酒、あるいはセクハラに関与したとして処刑されたという。北朝鮮の軍部には今、何が起こっているのだろうか。

■軍に忠誠心を求める金正恩氏

 金正恩氏は権力を握ると同時に、全国の部隊を慌ただしく視察した。1月1日から近衛ソウル柳京守(リュ・ギョンス)第105戦車師団を皮切りに、これまで軍だけで17カ所を視察した。これは4-5日に1回のペースとなる。2011年の金総書記の公表された活動は145件だったが、うち軍の視察は39件で、これは9-10日に1回のペースだった。

 金正恩氏は将校や兵士と抱き合ったり、中隊長の家庭を訪問したりするなど、金総書記の時代には想像もできなかったスキンシップを行い、積極的に軍との接近を図った。金総書記の死からまだ四十九日が過ぎていない状況でも、機嫌よさそうに笑う様子も何度か目撃されている。

 韓国政府筋は「金正恩氏が何度も軍を視察し、これまでにない行動をしているのは、軍の忠誠心を確保することがそれだけ急がれているのを示す証拠だ」と語る。

 北朝鮮の体制維持のために重要な役割を果す朝鮮人民軍は、容易に掌握できるようなものではない。金総書記の長男・正男(ジョンナム)氏も、東京新聞の五味洋治編集委員に対し「父も軍を完全に掌握できなかった」と口にしていたという。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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