2012/03/23
自分を応援してくれる人が
胸を張れるような役者になりたい
’09年に『侍戦隊シンケンジャー』のシンケングリーン役でデビューした若手俳優の鈴木勝吾。テレビや舞台などで役者としてのキャリアを順調に重ねながら、バンド・ココア男。のギタリストとして活動するなどマルチな才能を見せている。着実にステップアップしていく彼に、これまでの仕事を通じて得たもの、これからの仕事を通じて届けたい想いを語ってもらった。
<interview>
――4/27から始まる舞台『薄桜鬼』はアニメ化もなった人気ゲームをもとにしたミュージカルですね。鈴木さん演じる鬼一族の風間千景について、どのように役作りを進めていますか?
「今回は人ではなく鬼を演じるということで悩んではいるんですよね。悪役も初めてですし。風間はアニメでは“新撰組が目をかけている娘の千鶴をさらおうとしている鬼”ということしか描かれていないんですけど、このミュージカルでは彼のバックボーンにもっと迫っているので、そこを深めて見せていけたらと思っています」
――そのバックボーンとは?
「対立している新撰組と鬼一族は、どっちかが悪いわけじゃないんですよ。たまたまその時に勝ったほうが正義とされているだけであって。だから新撰組には新撰組の、鬼には鬼の正義がある。これまで人間に差別されて多くの仲間が殺されてきて、その中で生まれた信念や正義に基づいての行動なんです。自分と共通している部分がないからこそ、役柄への理解を深めて、自分の中からいろんなものを引っ張り出して作り上げていきたいですね」
――初めての悪役ということも含め、今までにない役柄ですものね。
「そうですね。劇中のすべてのキャラクターがそうですが、自分の想いに忠実に生きているヤツばかり。そこに生まれる感情の深みや細やかな心の動きをきちんと伝えられたらと思っています」
――劇中では殺陣を披露する場面も多いかと思いますが、もう稽古には入っていますか?
「まだ稽古というより、殺陣の基礎を練習しているところです。受け身とか、刀の持ち方、構えからまず取り掛かっています」
――鈴木さんは今まで、『侍戦隊シンケンジャー』や、映画『ギャルバサラ 戦国時代は圏外です』などで刀を使った動きや演技を多く経験されていますよね。基礎から取り組んでいるというのは意外です。
「刀を使うことは初めてではないんですけど、しっかりした殺陣は初めてで。今まではそのシーンごとに、その場で振りをつけてもらっていたんです。改めて基本を習うのは大変ですけど、今後の役者人生に必要なものだと思うので、必死に勉強させていただいてます。基本の型に加えて風間のキャラクターも伝わるような刀さばきになるよう、これから僕自身もっと意見を出して作り上げていきたいですね」
――仕上がりが楽しみです。舞台上演に加え、3/31にはご自身がギタリストを務めるバンド、ココア男。のラストライブが控えています。バンド活動の他、バラエティ番組などにも挑戦したこの2年間を振り返っていかがですか?
「シンケンジャーで役者デビューして、次の仕事がココア男。だったこともあって、ひとつひとつに新しい発見があったし、すごく勉強になりました。楽器演奏のスキルを身に付けられたのはもちろん、この仕事をしている意味、姿勢を確認できたというか」
――姿勢というのは?
「シンケンジャーをやっている時は、“芸能人”でも“鈴木勝吾”でもなく、“ヒーロー”としての自覚というか…。ヒーローとして子どもに憧れてもらえるような、手本となる人でいないといけないという意識が一番強かったんです。それはそれでもちろん、とても勉強になったんですけど。でも、ココア男。では初めて一個人として、人前に立って何かを届けることの大切さ、そのパワーを自覚したんですよ。 “ココア男。のライブを観て元気が出ました!”って言ってもらえて、初めは恐縮してたんですけど、やっていく内に音楽がどうこうということじゃなくて、このメンバーだからこそ伝えられるものがあるんだってわかっていって」
――直接ファンに会って届けるというのは、ドラマや映画とは一味違った経験かと思います。
「それを経験できたことは本当によかったですね。ココア男。では“役”や“音楽”じゃなくて、“人”に対して一生懸命になっていたと思うんです。(人に)届ける大切さを学びましたね」
――そういったさまざまな活動を通して、今後のイメージはありますか?
「芝居が好きなので芝居もたくさんやっていきたいですけど、歌も好きなので機会があれば挑戦したいです。他にもいろんな表現をしていけたらと思っています。そして、それを見てくれた方々が“いいな”と思って応援してもらえたらうれしい。僕の根底にあるのは“応援してくれる人が胸を張れる人になりたい”って気持ちなんです。そういう役者になりたいです」
――すごくファンの方々を思ってらっしゃるんですね。
「役者でもココア男。でも、自分がしていることを観て、勇気や元気をもらってくれる人がいるんだということを、いつも実感していて。その人たちのためにも、これからひとつひとつステージを上がっていかないとって思います。その気持ちを持ち続けながらがんばります!」
自分が今「手紙を書きたい人」を思い浮かべてもらい、その人へのメッセージを語ってもらうコーナー。勝吾君が手紙を書くのは、今は亡きおじいちゃん。破天荒な祖父へ、今だから言える言葉とは?
おじいちゃんへ
男手ひとつで三姉妹を育ててきたおじいちゃん。
破天荒で、豪快で、僕とはいっつも喧嘩してたことばかり思い出します。
でも、本当はすごくかわいがってくれていて、すごい人だったんだなぁって
今になってわかったよ。
生きている時には“ありがとう”なんて言えなくて
もうこの気持ちが届かないのかって思ったら悲しいけど
二度とこんな後悔しないよう、両親や大切な人たちに気持ちを伝えていきます。
ありがとう、おじいちゃん。
今の僕の姿、見てほしかったな。
すごく喜んでくれたんだろうなぁ。
鈴木勝吾
【舞台情報】
ミュージカル『薄桜鬼』 斎藤一 篇
<story>
新撰組三番組組長、斎藤一(松田凌)は寡黙に武士としての生き方を追い求める男。彼の前に雪村千鶴(吉田仁美)という娘が現れたことで、斎藤は断ち切れない運命の濁流へと飲まれていく…。新撰組と風間千景(鈴木勝吾)率いる鬼一族の対立の中、幕末で最後まで武士として生きることにこだわった男の生き様がここに蘇る!
原作:オトメイト(アイディアファクトリー/デザインファクトリー)
脚本・演出・作詞:毛利亘宏
音楽:佐橋俊彦
出演:松田凌、廣瀬大介、吉田仁美、池田純矢、小野健斗、宮崎秋人、天野博一、鈴木勝吾、矢崎宏、他
日程: 4/27(金)~5/8(火)
会場:サンシャイン劇場(東京)
料金:指定席¥7,500
問い合わせ:イープラス/0570-06-9939(10:00~18:00)
※チケット発売中
※その他詳細はオフィシャルサイトへ!
【CD情報】
last single
『軌跡~Time to go~』
(ジャケットA・DVD付)
AVCD-48371/B
¥1,890
(ジャケットB・DVD付)
AVCD-48372/B
¥2,980
(ジャケットC・通常)
AVCD-48373
¥1,260
※now on sale
その他、ココア男。の活動詳細はオフィシャルサイトへ!
【profile】
鈴木勝吾(すずき しょうご)
’89年、神奈川県出身。’09年にスーパー戦隊シリーズ『侍戦隊 シンケンジャー』のシンケングリーン役でデビュー。その後、映画『BADBOYS』(’11)、『ラブポリス~ニート達の挽歌~』(’12)などに出演。また、テレビ番組から生まれたバンドグループ・ココア男。のギターとしても2年間活動し、3/31のライブをもって解散することが決定している。マルチな才能で今後の活躍が期待される若手俳優のひとり。