ふすまの間から見つかった神社本殿建設に関する文書=鯖江市舟津町の舟津神社で
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鯖江市舟津町1丁目の舟津神社の橋本政宣宮司(69)宅で、保存していた旧家屋のふすまの中から、神社本殿の造営経緯を記した江戸後期の文書が見つかった。東大史料編纂所に長年勤め、歴史学の研究者でもある橋本宮司は「建造当時の史料がこれほど多く、完全な形で残っているのは珍しい」と話している。
見つかった古文書は数百枚。橋本宮司が、これまで神社に残されていた史料と比較しながら検証。その結果、1820年に完成し、現在は県文化財の本殿造営に関する入札書や、福井藩への申請書の原本と分かった。入札書には造営工事をめぐる過程や、費用などが詳細に記されていた。
本殿の造営で1814年、小野谷村(現・越前市)の大工2人組が72両、別の大工3人組が68両の工事費用で入札し、3人組が落札したといった新事実や、入札を決めた氏子会議の記録もあった。
橋本宮司は、多くの文書が残されていた理由の一つを「造営工事は通常、資金を集めてから行う。だが舟津神社は、氏子7区域で建築費を分担したので、経費や経緯を詳しく残す必要があったのでは」と分析する。
古文書は1970年代ごろまで住んでいた旧家屋の2階にあった、ふすま4枚の下張りに使われていた。橋本宮司は「一度、手元から離れたものが戻ってくるとは、全くまれなこと。巻物にまとめて保管したい」と話している。 (古谷祥子)
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