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ライフ
ポストモダンの「先」意識 文芸賞受賞の東大院生、今村友紀さん
2011.11.7 08:18
「自分の書いたものが世の中に出ていく現実感がまだない」。「クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰」(今月中旬刊行予定)で第48回文芸賞(河出書房新社主催)を受けた東京大大学院生の今村友紀(いまむら・ともき)さん(25)は、10月24日の会見で控えめに喜びを表現した。
受賞作は東京・渋谷を舞台に、不条理な「戦争状態」にほうり込まれた女子高校生たちのサバイバルを、読点のない独特の文章で描く。東日本大震災後を想起させる設定もあり、「『3・11以後』の小説」(選考委員の高橋源一郎さん)と評されたが、震災前にはほぼ書き上げ、改稿もしていない。「まず題名がぱっと思いつき、次に冒頭の光が差し込むシーンが浮かび、とくに設計図もなく…。後で現実と符合する部分があって、少し怖い感じがした」と振り返る。
秋田県生まれ。東大医学部に進んだが、3年前に「ふと『作家になりたい』と思い立ち」文学部へ。「人の命や人生と向き合うにしても、実践的な医学より、人文学のような理論的で抽象的な追究方法にひかれた」
学部では現代アメリカ文学を学んだ。文学の長い歴史を踏まえつつ、新しさを果敢に目指す。
「旧来の物語の語り方をうまく取り入れながら、そこにポストモダン的な視点を交えつつ…というややこしいことをうまくできないかなあ、と。それが先に進むことだと漠然と考えているから、実践できるよう頑張りたい」(海老沢類)
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