日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


K子デラックスのイメージ画像

◆梅田恵子(うめだ・けいこ) 1967年3月6日、東京・豊島区生まれ。法大経済学部卒。89年、日刊スポーツ新聞社に入社し編集局文化社会部に配属。芸能担当、社会面担当など幅広く取材。小泉今日子結婚、広末涼子結婚などをスクープ。11年秋からメディア戦略本部に異動し、主に芸能担当。ドラマ「淋しいのはお前だけじゃない」、映画「太陽を盗んだ男」、アニメ銀魂「万事屋ブルース」などが好み。

厄介な男だが...俳優高岡蒼甫はやっぱいい

12年2月14日 [05:00]

 プライベートではお騒がせをやり尽くした高岡蒼甫(30)だが、俳優としては一流なのだと再認識させられた。米ニューヨークでも好評を博した舞台「金閣寺」(宮本亜門演出)がこのほど再演され、近代文学の難役をき生きと表現していた。生き方は視界不良でも、芸事にはズバッと焦点が合う。厄介な人である。


kaetakaoka0.jpg


 高岡が演じたのは、金閣寺を放火、消失(1950年)させた主人公(森田剛)の級友「柏木」。足と歩行にコンプレックスを持ちながら、むしろ武器として女を手玉にとるような大胆不敵な男。コンプレックスでどんどん内向的になる主人公を挑発しまくり、放火までの過程に大きな影響を与える。

 映画「パッチギ!」でのギラギラした番長役も素晴らしかったが、文学的な「柏木」役もはまっていた。デリケートな動きの超絶ぶりに加え、よく通る声の良さも哲学的な世界観によく合う。「認識だけが世界を変える」「長持ちする美は嫌いでね」。頭の中でいちいち漢字変換しなければならない三島文学が、生臭い人間の言葉としてスッと頭に入ってくる。匂い立つようなどす黒さにわくわくするし、理屈のど真ん中を射抜く明快さには透き通るような救いもにじむ。「重要な役だからきちんと芝居のできる人に」。演出宮本亜門氏の見立てに納得だ。

 初演は昨年1月。まだ例のツイッター騒動を起こす前だった。半年後、何かと韓国押しのフジテレビについて、ツイッターで「8は今、マジで見ない。韓国のTV局かと思うこともしばしば」などとつぶやいた。当時、彼は大手芸能プロダクション所属。ほかの所属タレントへの影響を考えれば、名指しの局批判は反響も大きかった。

 適当に収めるかと思ったら「嫌なものに媚び売ってまで活動しない」と腹の虫がエスカレート。当時、高岡はニューヨークにおり、日本国内と意思の疎通を欠いたままのツイート放題だった。わずか5日後に事務所を事実上のクビとなり、妻の宮崎あおいも失った。

 高岡のフジ批判に特段の感想はないが、ひとつの〝ご意見・ご要望〟がこんな結末となったことには驚かされた。確かに、大の男がカッとなって感情的に振る舞うのはかっこいいものではないし、フジ批判のはずが、韓流批判のように誤読される書き方も稚拙だった。だが、犯罪をやらかしたわけではない。少なくとも、外ヅラだけでスイスイ社内遊泳するタイプの男よりはマシだと個人的には思う。要は実績と発言のバランスが悪いから受け手が引くのであって、ひと言多い私も自戒を込めるばかりである。

 劇場からの帰り道、初演も見たというベテラン演劇記者も「ツイート騒動の後だが、やっぱり高岡はうまいねえ」。ツイートの軽さと、俳優としての表現力の深さ。このギャップの怪はこちらの理解を超えているので放置しておくが、手負いの男にこうして感情移入しているあたり、やはり高岡の「柏木」の影響を受けているのかもしれない。

 アンバランスな人生はしんどそうだが、何を失っても才能だけは最後まで手の中に残る。大きなお世話だろうが、これからも俳優としていい仕事を続けてほしいと思う。

 もちろん、プライベートでの話題提供も、常に、大いに歓迎しております。

写真=2010年6月、本紙撮影の高岡蒼甫

このコラム記事には全0件の日記があります。

K子デラックスの最新記事





日刊スポーツの購読申し込みはこちら
釣り情報
釣果情報 再開しました。