米側では、日本が中国との関係をそれまでより友好的にすることこそ歓迎したが、最重要の唯一の同盟国である米国と中国とを等距離に置こうとする姿勢には当惑させられた。小沢一郎訪中団の媚中ぶりが米側をさらに懸念させた。
第3には、鳩山政権が米国の核政策に反対し、日本への核抑止さえも揺らがせる結果となった。鳩山政権の外相は米国に「核先制不使用」政策の採択を求め、日本の防衛の基盤を除去することを迫る結果となった。また、鳩山政権はさらに米国の核兵器の配備や持ち込みについての両国の秘密合意の調査をも開始した。
さらに最大の悪影響をもたらした第4の出来事として、鳩山政権が東アジア共同体の構想を推進しようとしたことが挙げられる。
この構想は米国をこの共同体なる組織から除外することを意味しており、米国のアジアからの排除を示していた。アジアでの米国の最も緊密な同盟相手であるはずの日本がこんな米国追放の構想を打ち上げたことは、オバマ政権を仰天させた」
アジア各国も反対した東アジア共同体構想
ベーダー氏はこんな実態を明らかにしたのだが、特に「東アジア共同体」構想については、「ベトナムまでが深刻な懸念を表明した」と述べていた。「米国と戦ったベトナムがこの東アジア共同体なる構想の戦略的な愚かさを認識し、他方、米国のアジアでの最大の同盟パートナーである日本がそれを認識しないという皮肉は痛烈だった」とも言う。
アジアの他の諸国も鳩山政権の主張するような東アジア共同体への動きが現実に始まれば、もっぱらその構想の中心に立つのは中国であり、中国の影響圏の拡大をもたらすだろうと考えていたとも言う。
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