みなさん、こんにちは。なかなかメルマガを書く時間を「見つける」のが大変で苦労 しています。今日は、深夜の犬の散歩の後、やはり書かなければならないと思い、自宅のパソコンに向かっています。
<派遣命令下る>
私の今日1日は、朝8時の党拡大中央幹事会の参加から始まりました。テーマは、ずば りイラク・サマワへの陸上自衛隊本隊の派遣の是非でした。最初内閣官房副長官補よ り、先遣隊の調査結果についての報告があり、質疑応答もしました。その報告によっ て明らかになったことは、(1)サマワの治安が比較的安定しており、イラク特措法 上自衛隊が活動可能な「非戦闘地域」であること(2)サマワの市長、また市民に大 きな影響力を持つ部族長、ムサンナ県の県知事など、地元の人々が自衛隊を歓迎して いること(3)自衛隊が貢献できる支援ニーズが多くあること、等でした。
この報告聴取の後、党内で議論しましたが、大勢は派遣に賛成でした。ただ、先遣隊 の報告の中身がまだ具体性に欠いていること、政府側の国民に対する情報提供・説明 が不足だったり遅れ気味な点、自衛隊派遣以外の日本の貢献について迅速に実施する こと等、この日の正午に予定されていた神崎代表と小泉総理の党首会談を念頭に、注 文は相次ぎました。私自身は、「自衛隊のイラクでの活動にばかり焦点があたってい るが、今この瞬間にも、東ティモールで自衛隊が活動していることを忘れてしまって はならない。東ティモールの旭大使と先日話したが、日本の自衛隊は現地の人々や国 連内で大変高い評価を得ている。そういう実績と基盤の上に、今回のイラク派遣(人 道復興支援目的)があることを政府はしっかり説明すべきだ。」との意見を述べさせ ていただきました。
正午の党首会談では、神崎代表が党内論議を踏まえ、首相の判断を尊重する旨を伝 え、夜、石破防衛庁長官が派遣命令を出しました。
派遣を決断した与党の一員として、重い責任を痛感するとともに、派遣される陸海空 自衛隊の隊員が全員無事に任務を終えて帰国することを心から祈る次第です。
<自衛隊派遣に関わるいくつかの主張について>
ところで、この自衛隊派遣に関係して、マスコミではいろいろな主張がなされていま す。勿論、多様な意見が出て議論が交わされることは健全であり、大いに結構だと思 います。しかし、派遣に賛成した立場から答えておかなければならない論点もありま す。以下、簡潔に述べたいと思います。
1.イラクは「戦地」か?
イラクではテロが頻発し、武装グループによる強盗事件も後を絶ちません。その意味 では世界の中でもかなり混乱した危険地域と呼べることは間違いありません。しか し、それがイコール「戦地」かというと、首をかしげざるをえません。武装攻撃を継 続して計画的に連合軍に対して行う組織がイラクに存在する場合、広い意味での「戦 地」と呼べるかもしれませんが、イラクからの報道を総合分析して、そのような組織 体の存在を証明することができる人はおそらくいないはずです。多数の主体によるテ ロや通常犯罪である強盗の頻発=戦争ととらえるのは、明らかに飛躍した議論です。 この10年テロ事件が日常的に起こっているイスラエルを「戦地」と表現するマスコミ はほとんどないと思いますが、なぜイラクだとすぐ「戦地」となるのか、理解に苦し むところです。
2.自衛隊は海外で武力行使するのか?
自衛隊は、海外での武力行使を憲法によって禁じられていますので、これはありえま せん。多くの学者が指摘しているように、武力行使=戦争といっても過言ではなく、 日本は自らの生存権に関わる自衛目的の場合のみその防衛能力をフル活用できるので す。イラクに派遣される自衛隊の任務は、あくまでも人道復興支援作業です。武器を 携行するのは、万が一武装した勢力に襲われた際の護身が目的です。「自衛隊は非戦 闘地域で活動するのだから、『万が一』があるのは、おかしいではないか」とおっ しゃる方もいるかもしれませんが、組織的かつ計画的な武装攻撃が継続して行われな い地域(=非戦闘地域)であっても、テロ攻撃や強盗の危険はあります。危険がある 以上、正当防衛できるだけの最低限の武装をすることは憲法上も許されると思いま す。ちなみに、このようなケースで武器を使う場合は、「自衛目的の武器使用」(警 察官が正当防衛で武器を使用するのと同義)と呼ぶのであって、法律上は「武力行 使」とは区別されています。
3.自衛隊派遣はアメリカの「いいなり」の結果か?
自衛隊は昨年の通常国会で可決された「イラク特措法」という法律に基づいて派遣さ れますが、その法律が作られた直接的な理由は、イラク戦争後に国連において全会一 致で可決された「国連決議」です。出発点は、米国でなく、国連だということを確認 したいと思います。また、根拠の不明な推測報道はともかく、米国政府首脳が日本政 府に対し、具体的に「いついつまでに、イラクのどこそこに、自衛隊を何人派遣し て、これをやれ」というような「命令」や「注文」をつけたことは、私の知る限りあ りません(ちなみに、私はブッシュ大統領と小泉総理の会談の通訳をした米国人と 会って話を聞きましたが、そこでも一切そんな話はなかったそうです)。
それから、このような意見は、すでにイラクに軍隊の一部を送って復興支援に従事し ている米国以外の国々に対して非常に失礼だと思います。ちなみに、サマワのあるイ ラク南部では、イタリア・ポーランド・韓国・タイ・フィリピン・ブルガリア、など の部隊が中心となってすでに活動しておりますが、これらの諸国も「米国のいいな り」で来たのでしょうか?タイのスラキアット外務大臣と私は昨年豪州で会って話を していますが、タイは米国の対イラク戦争に明確に反対を表明した国です。しかし、 イラク再建には迅速に参加しました。理由は、イラクの人道復興支援は、国際社会全 体が取り組むべきものだというものでした。それをタイ政府の主体的判断で行ってい るのであって、「いいなり」などといわれたら怒られると思います。日本も同様に、 政府の主体的判断で派遣決定をしております。
4.日本は戦前の軍国主義へ逆行しているのか?
非常に短絡的な意見と言わざるをえません。戦前の日本軍兵士は、「お国のため」と いって徴兵され、海外に「植民化」「邦人とその権益の保護」「領土拡張」(=侵 略)などの目的のため派遣されました。また、当時の日本軍が究極的に守らねばなら ないとされていたのは、国民というよりも「天皇を頂点とした国のあり方」(=いわ ゆる国体)でした。そのため、軍事戦略上敗北することが明らかな場合や非戦闘員で ある国民に多大な犠牲が出ることが分かっている場合でも、国体護持に資するとされ た戦争は継続されたわけです。また、シビリアン・コントロール(文民による軍隊の統制)も反故にされており、軍人のトップがそのまま内閣のトップに座る異常事態に なっていったのです。
それに比して、今次の自衛隊派遣に類似性はどの程度あるのでしょうか。まず、自衛 隊という組織は「志願制」であって、その隊員たちは「お国のため」といって強制的 に入隊させられたわけではありません(また、PKOなど海外の任務に赴く際もたい ていは志願制と聞いています)。そのうえ、派遣される目的が全く違います。日本政 府は、人道復興支援目的でイラクに派遣するわけで、この派遣によって植民化・領土 拡張・権益保護などの実現を図るわけではありません。もちろん、今回の派遣が非常 に広い意味で日本の国益に合致すると私も考えていますが、この場合の国益とは「イ ラクの石油権益」などという矮小な話ではなく、要はイラクの平和で民主的な復興が 日本を含む世界全体の利益にかなうということです。そして、これは言わずもがなの ことですが、現在の日本では強固なシビリアン・コントロールが制度的に確立しています(総理も防衛庁長官も文民であり、自衛隊の活動については国会の承認も求めら れています)。
これだけの根本的相違があるにも関わらず、「今の日本は戦前に戻った」と主張するのは、かなり無理があります。
<国会で本格論戦>
上記以外にも、論点はありますが、明日の仕事も考えて今日はこのあたりで終えたい と思います。いずれにせよ、国会の予算委員会やイラク特別委員会の場で、議論は本 格化していくでしょう。私も参院の特別委員会に所属していますので、何度か質問に 立つ機会があると思います。派遣には賛成の立場ですが、政府の運用すべてに満足し ているわけでもないので、追及すべき点は追及したいと思います。また、外の講演会 の場などでも、しっかり説明責任を果たしていこうと思います。
<民主党議員の学歴詐称疑惑>
最後に、これを書かないと眠れませんでした。民主党の古賀代議士の学歴詐称疑惑、本人は今日帰国したのですが、明確なけじめの話が出ませんでした。このメルマガが配信されるころには、出ていることを期待しますが、事ここにいたっては議員辞職するしかないと思います。私も海外留学長いのでよく知っていますが、自分が卒業したかどうかは絶対知らないはずがないし、だいたい「弁護士」に卒業を確認してもらった話などにわかに信じがたいものです(自分で手紙か電話すれば済むことですから)。その証拠に、古賀代議士本人は、大事な大事な「弁護士」さまの名前を覚えていないとか。いい加減うその上塗りはやめたほうがいいと思います。菅代表も、公明党に難癖つける前に、古賀さんのご指導に集中していただきたいと思います。