――サマワを「比較的平穏」と判断している理由は。
遠山 イラクではテロが起きている地域と、そうでない地域とがはっきり分かれている。バグダッドや北部は組織的な戦闘行為が続いているが、バグダッドより南では地対空ミサイルを使った攻撃は一度もない。昨年末にサマワを訪問したが、半年前に訪ねた北部とは緊迫感が全く違った。
――市民の対日感情はどうか。
遠山 日本のゼネコンが二十年前に建てた病院がある。病院が象徴する先進的技術こそが、住民が日本に抱くイメージだ。日本への期待を感じた。
――復興支援の課題は。
遠山 現地住民のほぼ五割が失業者で、雇用対策が最も重要。セメント工場の生産ラインをオランダ軍が修理し、多くの雇用を生んでいた。上水道工事には住民を雇っていた。自衛隊は自己完結組織だが、自衛隊のもとで現地の人を職につける方法が考えられないか。サマワ郊外に、旧ソ連が立てた壊れた鉄工所があった。自衛隊が修理できるなら、雇用創出につながるはずだ。
――自衛隊でなければいけない理由は何か。
遠山 現地は警察が機能していない。オランダ軍が治安維持にあたっていることを考えれば、現時点では万一の際に自分の身を自分で守れる自衛隊が主軸にならざるを得ない。新政権が誕生し、イラク人による警察が治安を守るようになれば、民間企業やNGO(非政府組織)が積極的に行くことができるような環境を政府は整備すべきだ。
――現時点で民間が行くのは難しいのか。
遠山 オランダ軍と協力して人道支援にあたる国際NGOが四団体いる。フランスのNGOは水の浄化を進めている。最近サマワに橋を架けたのは米国のゼネコンだ。日本のNGOも、スタッフの安全を含め自分たちですべてのリスクを負う覚悟であれば、応援したい。
(西日本新聞)