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【スポーツ】石巻工は無念の逆転負け2012年3月23日 紙面から
◇センバツ高校野球<第2日>あきらめない力をありがとう−。21世紀枠で東日本大震災の被災地から聖地に乗り込んだ石巻工(宮城)は、九州の強豪・神村学園(鹿児島)を相手に5−9で敗れ、初戦で姿を消した。だが“あきらめない街・石巻!!”のキャッチフレーズ通り、一時は4点差をひっくり返す底力を見せた。初出場の高崎健康福祉大高崎(群馬)は古豪の天理(奈良)を7盗塁と機動力で揺さぶって、9−3で快勝。九州学院(熊本)は21世紀枠で初出場の女満別(めまんべつ=北海道)に6−0で勝った。 「ナイスゲーム」「ありがとう」「よく頑張った」−。満員のアルプススタンドから温かい言葉がかけられた。その声に、笑顔で戦い抜いてきた石巻工ナインの目に熱いものがこみあげた。「応援してくれた方々へ勝ちを届けられなかったのが、すごく悔しくて申し訳ない。でも、最後まで全力疾走と笑顔はできた」。前日、開会式での選手宣誓で日本中を感動させ、この日も3安打、1打点を気を吐いた阿部翔人主将(3年)は胸を張った。 初回から小刻みに点を奪われ、4回裏の攻撃が始まる時には0−4。初めて全国レベルを肌で感じた。でも、気持ちは負けていなかった。先頭の斉藤が右中間三塁打で出塁すると、阿部主将は初球を中前に弾き返し、反撃のノロシを上げた。 さらに1死満塁として迎えた伊勢の打球は、遊撃手の正面だったが、まさかの“トンネル”で左中間フェンスまで転がり、走者一掃で逆転に成功。伊勢は「併殺だけは避けたいと思って全力で走ったら歓声で球が抜けたのを知って…。何が起こっているのか分からなかったけれど、とにかく走った。おじいさんが味方してくれたのかもしれない」と空を見上げた。 伊勢の祖父・鐡夫さんは昨年の3・11で、足の悪い近所の人を助けに行ったまま津波にのまれたという。避難所、そして遺体安置所を毎日捜し回って、地震から10日後に悲しい対面となった。 学校の横を流れる運河が津波で氾濫し、グラウンドは約1・5メートル冠水、水が引いた後も厚み10センチのヘドロや死んだ魚で覆われた。ちょうど1年前の3月22日にグラウンドに集合。ヘドロを手ですくって除去するところから野球部の復興は始まった。ボールやバットは、全国から支援物資として届けられた。9月には台風15号で再びグラウンドが冠水したが、いくつもの困難を乗り越えて甲子園までやってきた。 「夢の舞台で野球ができて良かった」と阿部主将。「これを見て“また頑張ろう”という気持ちになって、夏に戻ってきます」と、大事そうに甲子園の土をしまい込んだ。 (竹村和佳子) PR情報
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