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新幹線 トラブル重なり混乱拡大

3月14日(水) 22時08分

全線開業1周年を迎えたばかりの九州新幹線が、きのう、6時間半にわたって全面ストップしました。

JR九州はけさ、緊急会見を開き、トラブルを謝罪しました。

また、JR九州は、架線の送電を止める「保護スイッチ」と呼ばれる装置の故障に、列車のバッテリー消耗が重なってトラブルが拡大したと説明しています。

昨夜10時半すぎ、筑後船小屋駅に入ってきた新幹線。

通常は電流が流れる架線に接しているはずのパンタグラフが下りたままです。

午後3時58分に久留米駅を出たあと、6時間半かかって次の駅に到着しました。

●乗客
「(アナウンスで)あと30分、あと30分って言ってから7時間ですよ」

●JR九州・青柳俊彦常務
「心より深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした」

JR九州によりますと、トラブルの発端は午後4時1分に起きました。

九州新幹線下りの久留米・筑後船小屋間で、架線にビニールが引っかかっているのが見つかり、新大阪発鹿児島中央行きのさくら557号が緊急停止しました。

当時、JR九州の風速計では、現場は風速5メートルでした。

運転士は、ビニールを取り除くため、架線への送電や周囲の列車を停止させる「保護スイッチ」を押して新幹線を止めました。

およそ20分後、運転士は「保護スイッチ」を解除しようとしましたが、何らかの原因でスイッチが作動せず、送電は再開できませんでした。

●乗客
「非常灯だけついて、あとは真っ暗になったんですよね。非常ブレーキがかかったんですよ。これは、線路にまず、異常があったかなと思ったんですね。で、そのあと、停電があったということだったですけど」

架線にひっかかったビニールは駆けつけた作業員が撤去し、同時に運転士は、保護スイッチをたたき壊し、手動で送電を再開させます。

ここまでの作業にかかった時間は2時間。

●JR九州・青柳俊彦常務
「起電を停止させる手続きだとか、上に上がるにしても、いろんなスイッチを扱いながらハッチを上げて、それから上っていくんですね。そういった意味で、手順、マニュアルどおりに運転士がやったんですが、やはり少し、上ったりするのに時間がかかったと」

午後7時42分、上下線で送電は再開されましたが、今度は列車本体のバッテリーが消耗してパンダグラフが動かなくなり、自力走行できなくなりました。

JR九州は、ここでようやく救援列車を手配。

列車のバッテリーは2、3時間しかもたないことは把握していましたが、対応が後手に回りました。

●青柳俊彦常務
「バッテリーについてもですね、やはり処置の方を最優先しましたんで、バッテリーを上げてしまったというのは、我々としても大反省です」

救援列車が現地に到着し、動けなくなった列車がけん引されて移動を始めたのは、停止から6時間半経った午後10時すぎでした。

●乗客
「止まった地点からここの駅までの距離が3キロだったんですね。そしたら、その時点で直らないんであれば、3キロやったら来れるじゃないですか」

結局、九州新幹線は、6時間半にわたって全線で運転がストップし、乗客およそ180人が列車内で一夜を過ごしました。

●乗客
「ちょっと情報伝達があまりなかったものですから、不安の声が多かったです、非常に。いつになったら動くのかっていうのが」

九州新幹線は、けさから通常運行に戻っています。

JR九州は、なぜ「保護スイッチ」が解除できなくなったか調査するとともに、今後は予備バッテリーを新幹線に載せるなどの対策を取りたいとしています。

●下田記者
「九州新幹線が全線開業して1年を迎えたばかりで発生した今回の最大のトラブル。JR九州は、再発防止を徹底し、九州新幹線の信頼回復に努めたいとしています」

●川上キャスター
「車内に残された乗客の皆さん、大変だったですよね」

●池尻キャスター
「不安だったでしょうね」

●川上キャスター
「お伝えしましたように、トラブルとミスが重なって混乱が拡大したということです。再発防止に努力してほしいものです」

2012年3月14日(水)のニュース