福岡市議会の主要会派が調整していた、東日本大震災で発生したがれきの広域処理受け入れを市に促す決議案について、共産党市議団は21日、賛同しないことを決め、最大会派の自民党市議団に伝えた。これを受け、同党市議団は開会中の定例市議会への決議案提出を断念することを決めた。
各会派が調整してきた決議案は、がれき受け入れについて「専門的知見を活用し、知恵を結集して検討を開始すること」などとして、市に受け入れに向けた努力を促す内容。
関係者によると、自民のほか公明、民主・市民クラブなどはおおむね賛同しており、27日の議会最終日に提出、可決する予定だったが、共産党が共同提案に加わらないことを決めたことで、慣例で全会一致を原則としてきた議会運営委員会立案による決議案提出ができなくなったという。
がれき処理受け入れに関する決議は北九州市議会などでも行われているが、福岡市議会共産党市議団は焼却灰などを埋め立てる同市の最終処分場の構造が他自治体と異なることを指摘。「安全上の問題があり、閉鎖性の高い博多湾が汚染される可能性がある。市民の理解が得られず、今定例会に決議案を出す緊急性は乏しい」と、賛同しない理由を説明した。自民党市議団は今後、高島宗一郎市長に受け入れを検討するよう申し入れる方向で他会派と調整する。
同市環境局によると、同市の最終処分場では地中に染み出る汚水をまとめて浄化処理し、博多湾に放流している。放射性物質は現在の処理施設では除去できないという。
=2012/03/21付 西日本新聞夕刊=