山形のニュース

がれき受け入れ先行自治体から提言 米沢、村山両市長

 東日本大震災で発生したがれきの広域処理が難航する中、真っ先にがれきを受け入れた山形県内では米沢、村山両市が新年度も受け入れ継続を決めた。がれき処理の認可権限を持つ米沢市の安部三十郎、村山市の佐藤清両市長が被災地支援のため、安全性の確保を前提に判断した。両市長に話を聞き、がれき問題の解決策などを探った。(米沢支局・金野正之、山形総局・関川洋平)


◎判断

 村山市では昨年7月から、民間の処理業者が気仙沼市の木くずを受け入れ、バイオマス発電の燃料に利用している。佐藤市長は「少しずつでも継続が大事だ。『(被災地の)がれきが無くなった』と言われるまで続けたい」と、息の長い被災地支援を目指す。
 米沢市は昨年7月以降、民間の処分場2カ所で多賀城市の不燃物、仙台市や石巻市の廃棄食品など計3万トン以上を埋め立てた。安部市長は「受け入れは当然」と話し、業者には新年度も、本年度と同量以上の受け入れを認める方針だ。

◎住民説明

 山形県は、がれきの放射性セシウムが1キログラム当たり4000ベクレル以下で埋め立て可能などとする独自基準を設定。これに従い米沢、村山両市を含む3市4町ががれきを受け入れている。現在までに、県内で大きな反対運動は起こっていない。
 安部市長は「米沢に実際に運ばれているがれきのセシウム濃度は最高で880ベクレルと低く、全く問題ない。今は市民の理解を得られており、心配の声も聞こえてこない」と強調する。
 佐藤市長は「放射性物質に関する検査を徹底的にやれば、市民の理解は得られるという自信があった」と明かす。受け入れ前に処理業者と会い「お互い必死に説明責任を果たしながら進めよう」と約束したという。
 「市民の信頼を踏まえて判断するのが、政治家の仕事。どこにでも説明に行く用意があったし、何かあれば責任は取るつもりだ」。佐藤市長はこう話し「実際には反対の声は思ったより少なく、冷静に受け止めてもらった」と市民に感謝する。

◎訴え

 がれきの広域処理はなかなか進んでいない。佐藤市長は「住民に説明しようにも自治体には放射線の専門家はいない。国が責任を持って専門家を活用し、放射線や放射性物質に関する(住民)教育を行うべきだ」と指摘する。
 さらに佐藤市長は「それぞれの自治体で条件が違うので、村山市だけが進歩的などとは考えていない」と前置きし、「行政は住民合意のない中で物事を進めてはならない。受け入れを進めるには、時間がかかっても説得の努力を続けるしかない」と訴える。
 安部市長は「国が都道府県に受け入れを振り分けて、県も市町村に振り分けて早く処理するというのが大切だ。そうしないといつまでも解決しない」と提言する。
 その上で「放射線が高いものを受け入れてくれと言っているわけではない。反対運動もあると聞くが、それでは被災地の復興は進まない」と関係者に理解を求める。

[メモ]がれきを広域処理するには処理主体が自治体、民間のどちらであっても、搬出元と搬入先の自治体同士で事前の協議をする必要がある。処理するがれきの種類や量、期間に関する調整を行い、最終的に首長が決裁する。被災地の自治体の中には、県にがれき処理の業務を委託しているところもある。


2012年03月21日水曜日


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