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双葉町議会が帰郷求める決議
3月19日 13時18分

双葉町議会が帰郷求める決議
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原発事故のあと役場の機能ごと埼玉県に集団避難している福島県双葉町の町議会は、県や周囲の自治体と連携して復興を進める必要があるとして、町に対し、役場の機能を福島県内に戻すよう求める決議を全会一致で可決しました。

福島第一原発が立地する双葉町は、原発事故で町の全域が警戒区域に指定され、事故から1年余り過ぎた今も、埼玉県加須市で役場の機能ごと集団避難を続けています。
こうしたなか、双葉町議会は、19日の本会議で、議長を除く議員7人全員が連名で町に対し、役場の機能を福島県内に戻すよう求める決議案を提案し、全会一致で可決しました。
この中で、住民の精神的・身体的疲労は計り知れないとしたうえで、復興を進めるうえで、福島県や双葉郡の他の町村と連携を強化するため、ことし6月末までに役場を県内に戻すよう強く求めるとしています。
さらに19日の議会では、具体的な移転先を選ぶため、町議会の中に特別委員会を設けることも全会一致で決まりました。
決議を提案した岩本久人議員は「今までも議会として役場を福島県内に戻すよう、町に何度も要望してきた。役場を福島県内に戻すのは多くの町民の声だ」と述べました。
一方、井戸川克隆町長は「決議を否定する考えはないが、大事なのは原発の現状がどうなっていて、どのような事態が想定されるかであり、議会には慎重な判断を求めたい」と述べ、福島県内に戻ることに慎重な考えを示しました。

双葉町・避難の経緯と現状

復興庁などによりますと、各地で避難所が閉鎖されるなか、福島県双葉町が役場の機能ごと集団避難を続けている埼玉県加須市の廃校の校舎は、今も残っている唯一の一次避難所となっています。
双葉町は福島第一原発事故のあと、「町民の健康を守る必要がある」などとして県外へ集団避難することを決め、去年の3月末に埼玉県加須市にある廃校となった高校の校舎に役場の機能ごと避難しました。
避難所への入居者は、去年4月には町の人口の5分の1に当たる1400人余りに達したほか、今も介護が必要な高齢者やその家族を中心に、およそ400人が避難所に残っています。
また、避難所を出た人の多くは、子どもの進学などの事情から近くの借り上げ住宅などに住んでいて、12日現在でも、およそ1300人が埼玉県内で暮らしています。
その一方、福島県内では、町の人口の半分に当たるおよそ3400人が仮設住宅などで暮らしていて、こうした町民の間からは、役場の機能が県外に移ったことへの不満の声が上がっていました。
さらに、双葉町の多くの地域が長期間居住が制限される「帰還困難区域」に指定されると予想されるなか、役場の機能や町民の生活の場をどこに集約するかや、中間貯蔵施設の設置の是非を巡る問題など、福島県や双葉郡内の町村との調整が必要な課題も山積しています。
福島県の佐藤知事は14日の県議会で「復興のためには、県と各町村が全力で取り組む必要があり、双葉町にはさまざまな事情があると思うが、福島県に戻り、復旧・復興に当たってほしい」と述べ、役場の機能を福島県内に戻すよう呼びかけていました。

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