中国が尖閣沖で領海侵犯を行う中、国際海洋法裁判所で大陸棚の境界について注目の判決
日本と中国の間に広がる東シナ海のうねりが高まっている。
先日、尖閣諸島沖で領海侵犯した海洋調査船の行動にも、中国側のある意図が秘められていた。
一方、国際海洋法裁判所では、ある注目判決があった。
CCTVは「中国海洋調査巡視隊は、尖閣諸島と周辺海域の権利を維持するための巡視活動を行ったあと、ガス田付近の海域に向かって、巡視を行った」と報じた。
16日、中国国家海洋局の巡視船「海監50」が、尖閣諸島沖の日本の領海内に侵入した。
さらに翌17日、中国は、日中中間線のガス田付近で、巡視船6隻などによる合同演習を行った。
CCTVは「この船舶は、日本の船舶や航空機の妨害を排除して、中国政府の主権と管轄権を宣告した」と報じた。
巡視船の領海侵犯は、メディアによって、大々的に伝えられた。
今回の領海侵犯は、これまでの漁船などとは異なる、国家海洋局の巡視船。
これが意味することについて、東海大学の山田吉彦教授は「是が非でも、中国は尖閣諸島を獲得したいと。中国の海洋進出のやり方は、領海侵犯をしながら、それを自国で正当化していくことを積み重ねていき、そして実力行使によって、自国支配海域を広げていくと」と話した。
中国巡視船の領海侵犯の2日前、ある判決が下されていた。
ドイツ・ハンブルクにある国際海洋法裁判所。
ミャンマーとバングラデシュとの間で、豊富な天然資源が埋蔵されているとみられる、ベンガル湾の境界線をめぐって、30年以上も対立を続けてきた。
ミャンマーは、両国間の中間線が原則と主張。
一方のバングラデシュは、大陸棚は、自国の陸地の延長線上であるとしてきた。
東シナ海において、日本は、ミャンマーと同じ中間線を主張。
そして、中国は、バングラデシュと同じ、大陸棚が延びる沖縄トラフまでが自国の海域であるとしている。
そして、注目の判決で、国際海洋法裁判所は、大陸棚の境界については、中間線を基本とする判決を下した。
ミャンマー側の主張が、ほぼ認められた形となった。
閉廷後、ミャンマー代表は「わたしたちは、良き隣国、良き友です」と話した。
バングラデシュ代表は「争いは終わりです」と語った。
天然資源が豊富な大陸棚の境界について判断を下した今回の判決は、東シナ海の日中間の争いなどにも、一定の影響を与えるといえそう。
専門家は、この判例は、日本にとって有利に働くと指摘する。
東海大学の山田吉彦教授は「中国の東シナ海での管轄海域の主張というのは、認められないものになってくる。今まで強硬な海洋進出を繰り返してきたことに、ASEAN(東南アジア諸国連合)をはじめ、国際社会が抵抗を示していることに対する、中国の焦りがあります」と話した。
中国に焦りはあるのか。
中国の洪磊報道官は「東シナ海問題に関する中国の立場は、一貫して明確だし、変わらない」と話している。
緊迫の東シナ海が、大きなうねりとなって、日中両国を揺るがしている。
(03/20 00:46)