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東電 対象外9市町村に賠償方針
3月22日 18時48分

国の審査会の指針で、原発事故による精神的な損害の賠償の対象に含まれていない福島県の自治体のうち、白河市など9つの市町村について、東京電力は、子どもと妊婦に限り、1人当たり20万円の賠償金を支払うとする方針を自治体側に伝えました。

これは22日、東京電力の皷紀男副社長が、福島県庁で開かれた県や関係する市町村との協議の中で伝えたものです。
原発事故による精神的な損害を巡っては、国の審査会が示した指針の対象に含まれていない福島県南部や会津地方の26の市町村が、線引きをせず、一律に賠償するよう国や東京電力に求めていました。
22日の協議の中で、皷副社長は「皆様からの要望をしっかりと受け止めた。きょうは、その回答を示したい」と述べたうえで、賠償方針を伝えました。
それによりますと、新たに対象とするのは、白河市や西郷村など福島県南部の9つの市町村で、18歳以下の子どもと妊婦に限り、1人当たり20万円の賠償金を支払うとしています。
さらに賠償の対象には含めていない会津地方などの住民のために活用してもらう財源として、県の基金に寄付金として30億円を拠出する考えを明らかにしました。
東京電力によりますと、今回の原発事故で、寄付金という名目で賠償を埋め合わせするケースは初めてだということです。
福島県や自治体は、22日に示された賠償方針や今後の活動方針について、来週にも、意見交換することにしています。

自治体の受け止めは

協議のあと、福島県南部や会津地方の26の自治体などでつくる対策本部の本部長を務める白河市の鈴木和夫市長は「福島県南部は賠償の方針が示されたことで一歩前進だと思うが、依然として、なぜ会津地方は対象に含まれないのか、明確な根拠は示されていない。全体を考えると不満と言わざるをえない」と話しています。
また、子どもと妊婦とに限って賠償の対象となる方針が伝えられた福島県南部の西郷村の佐藤正博村長は「一定の評価はするが、なぜ、この賠償案なのか、根拠が分からなければ意味がない」と話していました。
一方、引き続き賠償の対象となっていない会津若松市の室井照平市長は「非常に残念だ。福島県は同じだと訴えてきたが、新たな分断をされたと思え、遺憾だ」と話していました。
さらに、福島県の松本友作副知事は、県の基金に寄付金として30億円を拠出する案を東京電力から示されたことについて「県の基金に繰り入れるかどうかも含め、検討していきたい。いずれにしても、県南部と会津地方の方々の理解を得られるような解決方法を探っていかなければならない」と述べました。

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