先月9日に古里原子力発電所1号機で停電事故が発生した際、所長や幹部たちは事故を隠蔽(いんぺい)するため、非常用ディーゼル発電機2台がいずれも稼働不能の状態で、核燃料を移動させる危険な作業を行っていたことが分かった。もしこのとき再び停電が発生していれば、核燃料が冷却されず溶け出してしまう大事故が発生する可能性が非常に高かった。韓国政府は21日、事故を隠蔽した所長と複数の幹部を検察に告発すると同時に、来月末までに韓国国内の全ての原発に設置されている非常用ディーゼル発電機の特別点検を行うと発表した。さらに、国際原子力機関(IAEA)の安全文化評価レビューチーム(SCART)による評価も受けることにした。
■12分で原子炉の温度が21度上昇
事故当時、古里1号機は整備のために原子炉をストップさせていたが、内部には核燃料が残っていた。停電事故が発生すると、核燃料を冷やすための冷却装置も当然止まった。停電が続いた12分間で、原子炉内の冷却水の温度は36.9度から58.3度にまで一気に上昇した。
もしこのまま停電が続いていれば、冷却水が沸騰して蒸発し、核燃料が溶けて原子炉の床を突き抜ける炉心溶融(メルトダウン)が発生していた可能性が高い。昨年の福島第一原発での放射能流出事故もこのようにして起こった。原子力安全技術院のパク・ユンウォン院長は調査結果を発表する際「停電してから核燃料が溶け出すまでには54分ほど時間がかかるが、当時は核燃料も安定しており、放射能も流出していなかった」と述べた。
しかし、発電所の関係者たちは事故直後の先月10-11日、原子炉内の核燃料を交換する作業を予定通り行った。この時点で2台ある非常用ディーゼル発電機の1台はまだ整備中で、もう1台は停電のとき稼働しなかった。原則通りなら、核燃料の移動は延期すべきだったが、現場関係者は事故を隠蔽するため危険な行動に出たというわけだ。