東日本大震災のがれき処理をめぐり北九州市の北橋健治市長は19日、市議会特別委員会で「復興に貢献するため、早急かつ現実的に行動する必要がある。試験焼却などを検討したい」と述べ、受け入れ態勢を具体的に検討し始めたことを明らかにした。ただ最終的な受け入れの可否は「検討結果を市民や議会に示して判断したい」とした。
市は今後、支援する被災地や廃棄物の種類、搬入時の放射線量、運搬方法などを専門家の意見を聞いて検討する。焼却施設や灰の埋め立て地での放射線量の検査方法、健康や農水産物への影響、広報の在り方も協議するという。
廃棄物を搬入する際の放射線量の基準は、国が建築材に再利用できるとする「1キログラム当たり100ベクレル以下」に言及し「独自基準を定めた自治体は100―200ベクレル。100ベクレルは国際基準でもあり非常に重い基準だ」とした。
北橋市長は放射性物質の影響に不安を抱く人もいるとして受け入れに慎重だったが、市議会が市に受け入れを求める決議を全会一致で可決。15日には宮城県女川町で政府が主催した意見交換会に職員を派遣した。
市長は、受け入れる場合は市民への説明に努めるという。記者団に「市民の負託を受けた議会が決議しており、相当数の市民に理解してもらえると期待する。丁寧に説明したい」と話した。
市によると、受け入れた場合の処理能力は年間約4万トン。市の施設で焼却後、若松区の廃棄物処分場に埋め立てることが想定されるという。
=2012/03/19 西日本新聞=