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野田首相:太平洋新秩序うたう 5月訪米時、「野田ドクトリン」表明へ

 野田佳彦首相は5月の大型連休中で調整している米国訪問に合わせ、太平洋の新たな秩序作りのための基本戦略「野田ドクトリン」(仮称)を打ち出す方向で検討に入った。海上航行の自由や紛争の平和的解決、高いレベルの自由貿易体制構築が柱。「アジア太平洋重視」の姿勢を強める米国と歩調を合わせ太平洋の安全保障、経済発展を主導し、中国やロシアを新秩序作りに巻き込むことを目指す。首相訪米時にワシントンで講演し、提唱する見通しだ。【西田進一郎】

 政府関係者によると、首脳会談では、安全保障▽経済▽文化・人的交流--を3本柱にした、同盟深化の共同声明を発表する方向。これと合わせて「野田ドクトリン」で、アジア太平洋地域の安定と経済発展のための協力体制作りを提唱する。野田政権に対する「明確な外交ビジョンがない」との批判に応える狙いもある。

 安保分野では、「海洋はアジア太平洋地域を連結する公共財」との原則に基づき、紛争の平和的解決▽航行の自由▽国際法の順守--など海洋に関する基本的なルールを確認する。経済分野では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など経済連携の枠組みをアジア太平洋経済協力会議(APEC)が目指すアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に発展させることなどを盛り込む方向で検討している。

 当初は1941年にチャーチル英首相とルーズベルト米大統領が第二次世界大戦後の世界構想を提示した「大西洋憲章」をモデルに、「太平洋憲章」として、提示する案があった。しかし「日米による中国封じ込めではないか」との反発が中国側から出ていることもあり「嫌がる言葉をあえて使う必要もない」(日米外交筋)として、「野田ドクトリン」(仮称)とする方向だ。

 今回の首相訪米は、09年9月の政権交代後、初の公式訪米。「民主党政権として、一時揺らいだ日米関係の土台を作る重要な訪米」(外務省幹部)と位置づけられている。

毎日新聞 2012年3月22日 東京朝刊

 

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