ソウル中央地検強力部(凶悪犯罪担当・金会宗〈キム・フェジョン〉部長)は16日、「江南風俗街の帝王」ことL受刑者(40)が、賄賂を送った警察幹部の名を告げる場面が映された映像ファイルを確保し、裏付け捜査に乗り出した。この映像ファイルは拘置所の面会室で撮影されたもので、L受刑者は面会に訪れた同居女性(35)に、賄賂を渡した数十人の警察幹部の実名を伝えていた。L受刑者は巨額脱税事件で有罪判決を受け、現在拘置所で服役している。
検察が映像を詳しく分析したところ、L受刑者は20人ほどの警察幹部を名指ししており、また一部の幹部については賄賂の額まで語ったという。検察は同居女性がL受刑者の話に基づいて贈賄先のリストを作成し、このリストに記載された警察幹部を1人ずつ訪ね、賄賂の返還を求めたとにらんでいる。
検察はこの日L受刑者から直接話を聞き、警察幹部への贈賄が事実かどうかを問いただした。またL受刑者が収監されているソウル拘置所内の監房も捜索した。
L受刑者はソウル・江南に13カ所の「低価格フルサロン(ルームサロン〈高級クラブ〉と売春用のホテルを一つのビルで経営する風俗業)」を展開していた。L受刑者は2010年7月に脱税の容疑で逮捕・起訴され、2カ月後に一度は保釈が認められたが、その後も江南でフルサロンの営業を続けたため、再び身柄を拘束された。L受刑者と面会した知人が本紙に語ったところによると、L受刑者は「逃亡していたときに、自分から支援を申し出て金を奪っていった警察官もいた。あまりに腹が立つので金を取り戻したい」と話していたという。
今回の検察による捜査について、警察の内部からは「(検察が)警察に全面戦争を仕掛けてきた」との不満の声が出ているが、検察はこれに対し「警察が監察を始めるずっと前から内偵を行ってきた」と反論している。