古里原発停電:全国の非常用発電機42台は信頼できるのか

古里原発1号機、非常用ディーゼル発電機が故障した状態で稼働

国民に衝撃

 一方の予防定期点検は原発を一度停止させ、性能検査以上に徹底して行われる。まずは非常用発電機を分解して点検し、24時間稼働させて一定の出力を維持できるかなどをチェックする。この時はKINSの担当者だけでも十数人が立ち会うなど、担当者の数も多くなる。この点検を終えて原発を再稼働させるには、原子力安全委員会の承認が必要だ。古里1号機もこのようなプロセスを経て再稼働されたはずだった。

 しかし実際はこのような手順に従って適切な点検が行われていなかったことが事故につながった原因と指摘されている。原発の専門家は「点検項目は数百にも及び、現場ではそれら全てが行われないケースも多い」と語る。現場の作業員が点検を怠ったり、原子力安全委員会が書類を適当に見ただけで「問題なし」と判断するケースも多いという。また、点検に立ち会う下請け業者も、韓水原OBが運営する企業が多いため、形だけの点検で終わらせることが多いとの指摘も出ている。

 これは古里1号機だけの問題ではなく、全国の原発に共通する構造的な問題として捉えられており、専門家たちは「全面的な点検が必要」と指摘する。KAIST(韓国科学技術院)の張舜興(チャン・スンフン)教授は「現時点で全国に42台ある非常用発電機のうち、何台が本当に稼働するのか分からない。全ての非常用発電機を改めて点検する必要がある」と述べた。

■非常用ディーゼル発電機が故障するとどうなるか

 原発内部では冷却水循環装置が常に稼働していなければならないため、外部からの電力供給が途絶えた場合、直ちに非常用ディーゼル発電機が稼働しなければならない。もしこの非常用ディーゼル発電機が稼働しなければ冷却装置が停止し、最終的に核燃料棒が溶けて原子炉の底を突き抜ける炉心溶融(メルトダウン)事故が発生する。また使用済み核燃料貯蔵プールからは水が蒸発して核燃料が露出し、大規模な放射能流出事故につながる危険性がある。昨年の福島第1原発事故もこのようにして発生した。

崔源奎(チェ・ウォンギュ)記者
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