■設置から20年超える発電機多数
現在韓国には稼働中の原子炉が21基ある(試運転を除く)。原子炉1基当たり2台の非常用ディーゼル発電機がある。このうち、古里第1原発1号機を含め、設置から20年以上たつ発電機が18台もある。
ソウル大の黄一淳(ファン・イルスン)教授(原子力工学)は「韓国水力原子力の定期検査と政府による昨年の精密安全診断まで受けた非常用発電機が作動しなかったとすれば、検査がしっかり行われたのかどうか疑問だ。精密な再点検が必要だ」と述べた。
KAIST(韓国科学技術院)の張舜興(チャン・スンフン)教授(原子力・量子工学)も「日本の福島原発事故でも、地震直後に13台の非常用発電機が全て作動した。韓国の原発で福島の事故以降に精密点検を行ったにもかかわらず、非常用発電機が作動しなかったのは、到底理解できないことだ」と指摘した。
福島原発の非常用発電機は、地震直後には正常に稼働したが、その後の津波で冷却水の供給が絶たれ、海水ポンプが浸水する中、1台を除き全てが稼働不能に陥った。諸武成教授は「津波に備えるためには、蔚珍原発1・2号機にあるような空冷式非常用発電機に交換する必要がある」と主張した。水冷式発電機は海辺にあるポンプから冷却用の海水をくみ上げる必要があるが、津波が襲来すると、ポンプが浸水し、発電機まで使用不能となる。
諸教授は「蔚珍の非常用発電機は、空気の対流によって作動するため、海水ポンプが必要ない。ほかの原発の非常用発電機も防水処理や防御壁を高めるよりも、空冷式に交換する方が津波対策として効果的だ」と提言した。