【VE制作秘話:第二夜】 Mindless Outer God -盲目白痴の神-
2010/10/18 Mon. 18:55 [edit]
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第1夜はコチラ
今日から、本編について1曲ずつ解説していくよ~。
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第1楽章:Mindless Outer God -Azathoth-
第1楽章では、クトゥルフ神話における主神、造物主であるアザトースを題材にしています。
組曲としては、序曲があるのですが、作曲したのはこれが一番最初です。
アザトースは「盲目白痴の神」と呼ばれており、まず知性というものを持ちあわせておりません。姿形も泡だったり膨張したり収縮したりする謎の塊と言われており、これまた見た目が謎の従者に、太鼓をデタラメに叩かせたり、か細いフルートのような音色を出す楽器を演奏させたりしながら、全く意味を為さない下劣で冒涜的な言葉をわめき散らすらしく、こんなものが宇宙を作ったとは思いたくない存在です。
大抵の場合、他の神話における造物主は、何らかの意図があって世界を造っているものですが、アザトースにはそんな明確な意思はなく、宇宙そのものがアザトースがうっかり起こした現象により、たまたま出来上がっただけのものです。
多分ビッグバンの原因がこいつのうっかりなんでしょうね。
こいつ、本当に神って呼んでいいのかどうかすら怪しいのですが、いきなり他の神々を圧倒的に引き離す強大な力をふるってしまうので、神より上の存在を規定できない以上、神々のトップという他にありません。
この神様、「知性がない」「目が見えない」上に、「ご利益がない」ことも特徴ですね。世界最古の「3ない運動」です。
人間は神様を崇拝する際に、何らかの見返りを求めるものなのですが、アザトース自身、知性がないために崇拝されても気付かないし、そもそも人類の存在事態に気づいてないようなので、ご利益を与えようがないんですね。
だから、アザトースを崇拝しようと思う奴はほとんどいないようです。
さらにアザトースという名前も本名じゃないらしく、本名を知ったら即発狂という設定のようです。だから、アザトースという名前で秘密をカモフラージュしているのは、人類にとっては非常にありがたい話なのです。
大体、走り書きでアザトースについて説明してみましたが、ラヴクラフトの原作にも実際この程度の記述が散見される程度で、こいつが小説作品のメインになっていることは、あんまりないようです。
なので、これを歌詞にしようとしても、ぶっちゃけ情報量が少なくて困りました。
そこで、ラヴクラフト以外の著作に書かれている設定も、歌詞に採用したりしました。その一例が、「アザトースの種子」です。
アザトースは、これまた思いつきで分裂して、その破片を宇宙に放り出すことがあるらしく、その種子はどこかの惑星にたどり着くと、惑星の核にまで潜り込み、いきなり膨張を始めるらしいです。
最終的には惑星は破滅します。いやぁ、地球にきたら大変ですよもう。
まぁ、原作の記述が少ない割に、キャラが分かりやすかったので、作曲上で音楽に反映させるのは比較的スムーズに行きました。
ただ、文学作品からの引用や借用が歌詞にある関係上、歌詞の文字数そのものが多くなってしまい、千尋さんはものすごい苦労したようです。
歌詞が余計に多くなってしまった箇所ですが、曲で言うとブリッジの部分ですね。
あそこは、作曲上削りたくなかったのですが、どうしても歌詞が足りなくて、アザトースに限らずクトゥルフ神話の概要的なものを歌詞に詰め込んだ文章になっています。
歌詞カードを手に入れたら見て欲しいんですが、星が生まれ変わるだの、正気を保つ意味がないだの、そういうことが書いていますし、また別な回に説明する、ネクロノミコンの著者であるところの、アブドゥル・アルハザードも婉曲的な表現で登場しています。
そんなこんなで、この部分が一番文字量が多くなっちゃったんですよ。
そしたらさ、千尋さんが「次回作は、歌詞はシンプルにしようって言ったろ!」って言うんですよ。確かにそんなことを言っていましたさ。
僕だってそうしたかったよ!でも無理だったんだよ!邪神のせいなんだもん!
っていうと殴られそうだったので、僕のせいってことにしておきましたw
この曲ですが、多少なりともオーケストラ風のアプローチを入れてみたのは、思いつきでした。クラシックの作曲理論から見ると、ちっとも正当な形にはなっていないのですが、雰囲気が欲しかっただけなので、その辺は無視しました。
第1夜で説明したとおり、この曲がクトゥルフソングになったのは思いつきなのですが、作曲しながらオーケストラ的な雰囲気が混じりだしたあたりからです。
その後の曲もクトゥルフソングにしていく上で、巨大で壮大な神話の世界を表現するには、クラシック、オーケストラというキーワードが必要で、さらに宇宙やら異次元やらからやってくる存在という表現するには、シンセの音が必要になる。
これらを適切な比率で曲に盛り込むことが今回の「裏のテーマ」になっていくことになります。さらに、第2楽章、第3楽章と進むにつれてクラシック成分が増えていくところも特徴になるんでしょうねぇ。。。
そのあたりも覚えておくと、今後アルバムを聴くのも楽しいかもしれません。
ちなみに、このMindless Outer Godは V.A / Darkest Labyrinth Vol.2にも収録されました。が、アルバムはバージョン違いになります。
もうDarkest Labyrinth Vol.2は持っている人も、比較してみるといいと思いますよ。
さてさて、一番内容の薄い曲の癖に、文章が長くなってきました。
このへんにしときましょうかね。。。
(第3夜に続く。)
第1夜はコチラ
今日から、本編について1曲ずつ解説していくよ~。
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第1楽章:Mindless Outer God -Azathoth-
第1楽章では、クトゥルフ神話における主神、造物主であるアザトースを題材にしています。
組曲としては、序曲があるのですが、作曲したのはこれが一番最初です。
アザトースは「盲目白痴の神」と呼ばれており、まず知性というものを持ちあわせておりません。姿形も泡だったり膨張したり収縮したりする謎の塊と言われており、これまた見た目が謎の従者に、太鼓をデタラメに叩かせたり、か細いフルートのような音色を出す楽器を演奏させたりしながら、全く意味を為さない下劣で冒涜的な言葉をわめき散らすらしく、こんなものが宇宙を作ったとは思いたくない存在です。
大抵の場合、他の神話における造物主は、何らかの意図があって世界を造っているものですが、アザトースにはそんな明確な意思はなく、宇宙そのものがアザトースがうっかり起こした現象により、たまたま出来上がっただけのものです。
多分ビッグバンの原因がこいつのうっかりなんでしょうね。
こいつ、本当に神って呼んでいいのかどうかすら怪しいのですが、いきなり他の神々を圧倒的に引き離す強大な力をふるってしまうので、神より上の存在を規定できない以上、神々のトップという他にありません。
この神様、「知性がない」「目が見えない」上に、「ご利益がない」ことも特徴ですね。世界最古の「3ない運動」です。
人間は神様を崇拝する際に、何らかの見返りを求めるものなのですが、アザトース自身、知性がないために崇拝されても気付かないし、そもそも人類の存在事態に気づいてないようなので、ご利益を与えようがないんですね。
だから、アザトースを崇拝しようと思う奴はほとんどいないようです。
さらにアザトースという名前も本名じゃないらしく、本名を知ったら即発狂という設定のようです。だから、アザトースという名前で秘密をカモフラージュしているのは、人類にとっては非常にありがたい話なのです。
大体、走り書きでアザトースについて説明してみましたが、ラヴクラフトの原作にも実際この程度の記述が散見される程度で、こいつが小説作品のメインになっていることは、あんまりないようです。
なので、これを歌詞にしようとしても、ぶっちゃけ情報量が少なくて困りました。
そこで、ラヴクラフト以外の著作に書かれている設定も、歌詞に採用したりしました。その一例が、「アザトースの種子」です。
アザトースは、これまた思いつきで分裂して、その破片を宇宙に放り出すことがあるらしく、その種子はどこかの惑星にたどり着くと、惑星の核にまで潜り込み、いきなり膨張を始めるらしいです。
最終的には惑星は破滅します。いやぁ、地球にきたら大変ですよもう。
まぁ、原作の記述が少ない割に、キャラが分かりやすかったので、作曲上で音楽に反映させるのは比較的スムーズに行きました。
ただ、文学作品からの引用や借用が歌詞にある関係上、歌詞の文字数そのものが多くなってしまい、千尋さんはものすごい苦労したようです。
歌詞が余計に多くなってしまった箇所ですが、曲で言うとブリッジの部分ですね。
あそこは、作曲上削りたくなかったのですが、どうしても歌詞が足りなくて、アザトースに限らずクトゥルフ神話の概要的なものを歌詞に詰め込んだ文章になっています。
歌詞カードを手に入れたら見て欲しいんですが、星が生まれ変わるだの、正気を保つ意味がないだの、そういうことが書いていますし、また別な回に説明する、ネクロノミコンの著者であるところの、アブドゥル・アルハザードも婉曲的な表現で登場しています。
そんなこんなで、この部分が一番文字量が多くなっちゃったんですよ。
そしたらさ、千尋さんが「次回作は、歌詞はシンプルにしようって言ったろ!」って言うんですよ。確かにそんなことを言っていましたさ。
僕だってそうしたかったよ!でも無理だったんだよ!邪神のせいなんだもん!
っていうと殴られそうだったので、僕のせいってことにしておきましたw
この曲ですが、多少なりともオーケストラ風のアプローチを入れてみたのは、思いつきでした。クラシックの作曲理論から見ると、ちっとも正当な形にはなっていないのですが、雰囲気が欲しかっただけなので、その辺は無視しました。
第1夜で説明したとおり、この曲がクトゥルフソングになったのは思いつきなのですが、作曲しながらオーケストラ的な雰囲気が混じりだしたあたりからです。
その後の曲もクトゥルフソングにしていく上で、巨大で壮大な神話の世界を表現するには、クラシック、オーケストラというキーワードが必要で、さらに宇宙やら異次元やらからやってくる存在という表現するには、シンセの音が必要になる。
これらを適切な比率で曲に盛り込むことが今回の「裏のテーマ」になっていくことになります。さらに、第2楽章、第3楽章と進むにつれてクラシック成分が増えていくところも特徴になるんでしょうねぇ。。。
そのあたりも覚えておくと、今後アルバムを聴くのも楽しいかもしれません。
ちなみに、このMindless Outer Godは V.A / Darkest Labyrinth Vol.2にも収録されました。が、アルバムはバージョン違いになります。
もうDarkest Labyrinth Vol.2は持っている人も、比較してみるといいと思いますよ。
さてさて、一番内容の薄い曲の癖に、文章が長くなってきました。
このへんにしときましょうかね。。。
(第3夜に続く。)
category: Music work
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