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3町村の避難区域見直し 来月以降に
3月21日 19時22分

3町村の避難区域見直し 来月以降に
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原発事故による避難区域の見直しについて、国の担当者が、避難区域に指定されている福島県富岡町や楢葉町など3つの町村と協議しましたが、見直し後の賠償の在り方などを巡って議論が進まず、区域の見直しは、いずれも来月以降にずれ込む見通しとなりました。

福島県内の警戒区域や計画的避難区域について、政府は、今月末をめどに、住民の早期の帰宅を目指す「避難指示解除準備区域」や、長期間にわたって居住を制限する「帰還困難区域」など、3つの区域に見直しを行う考えで、地域の区割りなどについて、各自治体と個別に協議を進めています。
このうち、21日午前中には、町全域が警戒区域に指定されている富岡町との協議が行われました。
遠藤勝也町長は、住民の意向をまとめるには、区域の見直しで賠償に差が出ないようにしてほしいと要望したということです。
これに対して、国側は「持ち帰って検討したい」と述べるにとどまり、21日の協議では、具体的な区域の線引きまでは議論が及びませんでした。
また、町のほとんどが警戒区域に指定されている楢葉町の草野孝町長らとの協議では、国側が区域全体を「避難指示解除準備区域」に見直す考えを伝えましたが、町側は、人の出入りができるようになったあとの防犯上の問題があるとして、すぐには受け入れられないという意向を伝えました。
さらに、葛尾村との協議でも、住民への説明が済んでいないという意見が出され、3町村の区域見直しは、いずれも来月以降にずれ込む見通しとなりました。

区域見直しの課題

原発事故の影響で、放射線量が高い警戒区域と計画的避難区域には、双葉町、大熊町、富岡町、浪江町、飯舘村、葛尾村の6つの町と村の全域のほか、南相馬市、川俣町、田村市、川内村、楢葉町の、5つの市町村の一部または大半が含まれています。
これらの11の市町村にまたがる避難区域について、政府は今月末をめどに、放射線量に応じて、住民の早い時期の帰宅を目指す「避難指示解除準備区域」、引き続き避難を求める「居住制限区域」、長期にわたって居住を制限する「帰還困難区域」の3つに見直す方針を示し、各自治体との個別の協議を続けています。

しかし、避難区域の見直しで、町が複数の区域に分かれる可能性がある富岡町、楢葉町、それに葛尾村との21日の協議では、具体的な区域の線引きまでは話が進まず、見直しは、来月以降にずれ込む見通しになりました。
このほか、大熊町や双葉町など、町の多くの地域が「帰還困難区域」に編成される見通しの自治体でも調整は遅れています。
その背景には、国の審査会が先週示した賠償の指針で、見直し後の区域によって、賠償方法に差が出ることへの住民の不安があることや、自治体や国からの住民への説明自体が、まだほとんど始まっていないことなどがあります。
国は、調整が遅れている自治体については、見直し時期を今月末にこだわらない考えを示しています。
しかし、見直しが遅くなると、環境省が区域の見直しの方針に沿って進める予定だった自治体ごとの除染計画に遅れが出る可能性があるほか、自治体の復興計画の策定にも影響が出ることが懸念されます。
避難区域の見直しを進めている内閣府は、「なるべく早い段階での住民の帰還を目指しているので、できるかぎり来月1日に見直せるよう最大限の努力をしていくが、自治体や住民に丁寧に説明をして、理解を求めていきたい」と話しています。

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