所有しているテナントビルがまた貸しされ、暴力団組事務所に使用されていたとして、建物を所有する兵庫県西宮市の会社が借り主の男性と組長に明け渡しを求めた訴訟は、3月末までに事務所を明け渡すことで21日、神戸地裁尼崎支部で和解が成立した。明け渡しが完了すれば、西宮市内の組事務所はゼロになるという。
この日は第1回口頭弁論で、原告代理人によると、原告側が2月1日から3月21日までの未払い賃料などの支払いや監視カメラ設備の撤去など14項目を示した和解案を提示。組側が応じたという。
訴状によると、同社は2009年8月にビルを購入したが、1988年8月から賃貸契約を結んでいた同市の男性が組事務所として使用させていたことが、昨年10月ごろ明らかになった。原告代理人によると、この暴力団は西宮神社の「十日えびす」などで露天商の収益を集めていたという。
原告代理人で、日弁連・民事介入暴力対策委員会幹事の垣添誠雄弁護士は「県条例などで暴力団排除を進めているが、原告のようなケースは個人の負担が大きい。訴訟費用などを自治体などが補助する仕組みが必要だ」と話した。
(2012/03/21 14:18)
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