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  強欲の迷宮 作者:ZのR
え、やりすぎ?
ははは、そんな馬鹿な。
彼女の事情
 カイトはまるで仕切りなおすかのように、フィリスの頬に手を添えるとそっと彼女の唇に自分のそれを重ねる。
 フィリスは拒まず、しかし顔を朱に染めてそれを受け入れた。

「ん……は、ぁ……」

 軽くついばむようなバードキス、カイトが唇を離すと彼女は脱力したようにベッドにへたり込む。
 身体は燃えるように熱く、思考はぐちゃぐちゃ。
 まるで全力で走ったかのように息は切れ、自分の心臓の鼓動がうるさいくらいに耳に響く。
 そんなフィリスを見ながらカイトは呟く、放つ言葉が更に彼女を高ぶらせると分かっているから。

「ずいぶん敏感なんだな、少し口付けしただけでコレか」

 カイトの目論見通り、フィリスはますます顔を赤くし抗議しようとするが、彼女が言葉をつむぐよりも早くその髪を手で触れる。

「ひ……あっ!んんぅ……」

 形のよい唇からこぼれ落ちる声は言葉にならず、切なげな喘ぎに変わる。
 カイトが髪に触れた手をゆっくり動かすたびに、まるでそこが性感帯であるかのようにフィリスは身体を震わせる。
 いや、事実そうなのだろう。
 男には分かない感覚だろうが、女性は髪を触れられるだけである程度感じる事がある。
 ひどく敏感な女性ならば、頭を撫でられるだけで達してしまうほどに。
 もっともそれは極稀な例である上に、場の雰囲気によっても左右される。
 男のように、いつでもどこでも臨戦態勢に入ると言うわけではないのだ。
 しかしながら、今この場の雰囲気はソレそのものである。
 そしてこの空気に飲まれたフィリスは為す術もなく、髪をいじられるだけで与えられる性感に身を震わせる。
 彼女にはわけが分からなかったかもしれない。
 自慰の経験もほとんどなく、痛みや快楽を過度に感じた事のないフィリスにはすでに未知の領域だ。
 ただ救いは、このまま髪をいじられるだけでは達する事はないだろうと言う事である。
 と、ピクピクと身体を震わせるフィリスの反応を楽しんでいたカイトが、彼女の頭に口を寄せる。

「ふあっ!?」

 そのまま緩いウェーブのかかった彼女の髪を一房()んだ。
 甘噛みするように唇で挟み、時折舌を這わせる。
 撫でられるのとは違った感覚に漏れ出た声は、もう嬌声に近かった。
 それにほくそ笑んだカイトは、フィリスの髪を撫でる手をそのままに、今度は彼女の耳に口を近づける。

「はぁ……、ゃ……」

 耳に熱い吐息がかかるだけで、フィリスの背にゾクゾクとした感覚が登ってくる。
 だがもちろんそれだけでは終わらない。
 カイトはフィリスの耳たぶも甘噛みし、舌を這わせていく。

「や、ぁ……そ、んんっ……な……とこっ!!」

 まだカイトは首から上にしか手を出していないのに、すでにフィリスはメロメロだ。

 しかし彼女が抵抗しないのにはわけがある。
 カイトが首から上しか手を出さないのにも。

 フィリスの耳から口を離したカイトは、執拗に髪を撫でながら再び彼女に口付けをする。
 カイトの舌が口を割りフィリスの舌を絡め取ると、限界に近い彼女は逃れようとする。
 しかし舌を差し込んだ口を強く閉じられようと、手足をばたつかせようと、カイトはフィリスを攻め続け――

「や、やらぁ!!なに、何かきちゃっ……~~~~~っ!!」

 全身を強ばらせて激しく痙攣すると、いきなり脱力してベッドに沈み込んだ。
 カイトが支えなければ、ベッドから転げ落ちてどこかぶつけていたかもしれない。
 しかしフィリスはそんな事にも気付かず、産まれて初めて迎えた絶頂に呆然としていた。
 カイトはクスクス笑いながら彼女に語りかける。

「お疲れ様。
残念だったな、賭けは俺の勝ちだ」

 カイトがフィリスに持ち掛けた「賭け」。
 それは、「使うのは手と口のみ、触っていいのは首から上のみ」と言う条件の元、「フィリスを絶頂に導けるか否か」と言うものだった。
 ……フィリスはこの賭けを持ち掛けられた時、気付かなかったのだろうか。
 持ち掛けられる以前に頭を撫でられキスをされ、自分がすでに「準備」されていた事に。
 そして余程の自信があったからこそカイトは、この賭けを持ち掛けた事にも。

 絶頂を迎えさせられ真っ白になったフィリスの頭に、カイトの言葉が染み込んでくる。

「……ううぅ。 グスッ!!」

 いともあっさり絶頂させられた事、自分が賭けに負けた事を理解しフィリスは嗚咽を漏らした。

 カイトは笑みを浮かべたまま、フィリスに優しく語りかけた。

「まあ、悪い事ばっかりじゃないだろ。
俺の『相手』をしてもらうって事はつまり、何度でもイってもらう事だからな」

 その言葉にフィリスは、ビクッと一際大きく身体を震わせて、涙に濡れたままの瞳でカイトを見上げた。
 産まれて初めての絶頂を迎えた瞬間は、身体がバラバラになったかと錯覚するような衝撃が走ったのだ。
 それを幾度となく繰り返される、この先何度でも。 自分がこの男の奴隷である限り。

 カイトが利点であるかのように言った言葉に、しかしフィリスの心には新たな絶望が宿った。
 身体は傷一つないままかもしれないが、そう遠くない内に自分の心は壊される。
 それを予感させられるほどのショックを受けた体験だったのだ。

 そんなフィリスの心情を知ってか知らずか、カイトは自分を見上げたままの彼女の頭に手を伸ばす。

「あっ……だめ、んん~!!」

 軽く撫でているだけなのに、フィリスの反応はさっきより顕著で。
 まだ絶頂を迎えたばかりの彼女の身体は、彼女の心の動きとは別に敏感になったままなのだ。 すでに心身ともに限界に来ているフィリスは這ってでも逃げたいのに、さっきよりも強い刺激を与えられている彼女の身体はカクカクと震えるばかり。

「お前、まさか俺がこのまま治まるとか思ってるわけじゃないよな?」

 そう、先ほどから性感を受けているのはフィリスばかりで、カイトはほとんど素面のまま。
 それでも目の前で美しい少女が乱れる様子を見て興奮しないわけがない。
 むしろ賭けの途中でフィリスに襲いかからなかった精神力、あるいは自制心は賞賛に値するだろう。

 だがそれも賭けに勝つまでだった。
 今目の前に居るのは、「自分のする事に抵抗しない」と誓わせた自分の奴隷だ。
 賭けに勝った今なら、その誓いは有効になっている。
 泣こうが喚こうが関係ない、むしろそれを口実に「オシオキ」をする事もできる玩具である。
 遠慮なくフィリスが着たままだったワンピースを()くと、桜色に染まった彼女の裸体を組み敷いた。
 そしてぐずり続けているフィリスの頬に伝う涙を一筋舐めとると、こう宣言する。

「最初くらいは優しくしてやるよ。
……そうだな、動けなくなるまで()かせてから処女奪ってやる」

 そして猛る獣欲を押さえつけるのをやめたように、彼女の豊かな胸の膨らみにむしゃぶりついた。




 フィリスには、どのくらい時間が経ったのか分からない。
 ただひたすら身体の隅々まで責められ、感じるポイントを探り当てられて啼かされ続けたから。
 性器には指一本触れられず、しかし自分でも知らなかったその他の性感帯を全て暴かれて狂おしいほどの官能にさらされ続けた。

「そろそろいいだろ」

 カイトがそう呟いた時には意識はあるものの、宣言通り指一本動かす事もできないほどに疲れ果てていた。
 すでに声も涙も枯れ果て、息をするのも億劫だ。

 カイトはそんな状態のフィリスを、まるで人形でも扱うかのように抱え上げ、対面座位になるように座らせた。
 フィリスは完全にされるがままだ。
 もっとも、動ける元気があったとしても、カイトに知られた時点で即座に奪われる。
 それだけの技量がある事をここまでの段階で痛感させられた。
 性器は一切触られていないのに白濁した愛液(子宮頚管粘液)を垂れ流し、雄を求めるようにぱっくり開いてヒクついている。
 まだこの時点ではフィリスは処女であるのに、誰が見てもそうは思えない光景だろう。
 カイトはそんな彼女の身体を持ちやすいように抱え直すと、とっくに準備の整ったソコに自分の欲望の象徴を押し当てた。

「さて、覚悟はいいか?」

 フィリスの目の前にあるカイトの顔が、その金色の瞳の視線が彼女の瞳を捉える。
 フィリスは今まで与え続けられていた快感に疲れきってはいたが、意識だけははっきりある。
 視線を交えたまま、カイトはフィリスの身体を持ち上げていた力を緩め、彼女の中に自分の分身を収めていく。
 フィリスの瞳が再び怯えの色を宿し、カイトはそれを見て愉悦を深めた。
 まだ、彼女の心は快楽に屈していない。

 と、その途中でフィリスの身体が下がるのが止まった。
 カイトが支え直したわけではない。
 彼は今も、慎重に力を抜いていっている。
 そう、今フィリスの身体を支えているのは、彼女の乙女の証だ。
 その薄い膜が健気にも、徐々に増していく彼女自身の体重を支えている。
 しかしいくらフィリスの体重が軽いとは言っても、やはり人間一人分の重さには耐えられなかった。

「……ひぐっ!!」

 ガクンとフィリスの身体が下がり、一気に腰が落ちないようにカイトが再び支える。
 枯れ果てたと思った声は、処女膜の断末魔のように一瞬だけ漏れた。

「ああ……」

 カイトが恍惚とした吐息を発した。
 散々焦らされた膣粘膜がようやく訪れた肉棒を、待ちかねたとばかりに無数の襞で歓迎したのだ。
 この瞬間の快楽は、射精のそれに勝るとも劣らない。
 いつもこの瞬間だけは我を忘れてしまう。
 目の前に、破瓜の痛みか喪失感かで意識を朦朧とさせて、突き出した舌からたらたらと涎を垂らしているフィリスの顔が見えているが、そんな彼女を気遣う余裕もない快感だ。
 そのままゆっくりとフィリスの腰を降ろさせ、一度彼女の中に完全に埋没させると、無数の舌で舐め上げてくるような膣襞の感触を楽しむ。
 このまま動かなくても達する事はできそうだが、折角の初物をソレで終えてしまうのは勿体ない。
 余裕を取り戻したカイトは、フィリスの突き出されたままの舌に自分のそれを絡め、流れだす彼女の体液をすすっては彼女の口の中に利子を付けて送り返す。
 失神寸前のフィリスが、彼女自身の唾にカイトのを混合させたものを無意識に嚥下するのを見て笑みを深める。
 そしてカイトは、脱力したままのフィリスの身体を上下に揺さぶり始めた。
 それまでの愛撫に硬くなった胸の頂が、包皮に包まれたままの花芯がカイトの身体に当たって擦れ、その感覚に膣襞が混乱したかのようにデタラメにざわめいた。
 処女喪失したばかりの膣が特有の捲れ上がりを起こすのも楽しみ、フィリスの身体を強く抱き締めると、彼女の一番深いところに液状の欲望を思い切り解き放った。
 フィリスもガクガクと身体を震わすが、白眼をむいて完全に意識を手放しているようで、綺麗な顔がひどい事になっている。
 ひとしきり自分の奴隷の具合を堪能したカイトは、いまだ痙攣する彼女の身体を抱き締めたままベッドに倒れ込み、その熱い体温を感じながら眠りについたのだった。


――――――――――――――――――――――――――

「やれやれ、しかし彼が『彼女』を買ってくとはねぇ」

 ロドニー氏は、商隊の責任者から渡された書類の、奴隷の部分を読むとそれを執務室の机の上に放った。
 事前に連絡は受けていた、今回の輸送で運ばれてくる奴隷達の詳細なプロフィールを書き綴った書類だ。
 今回の輸送計画では、多少の被害が予想されていたため、傷を付けるわけにはいかない奴隷を運ぶつもりはなかったのだが、すでに支部が買い取っていた『彼女』を、輸送が再開するまで支部に置いておくのは危険と判断して、急遽他の支部に残っていた奴隷と一緒に運ぶ事にしたのだ。
 可能性は十分あったため、通常の奴隷の数倍の価格を提示するよう指示してあったが、彼はその金額を躊躇もせずに払ったらしい。
 まあ、起こった事は変えられない。
 「先方」には「確実に()されるように」と依頼を受けたが、ただの小国。
 依頼を達する義務も義理もない。
 そもそも彼が『彼女』を使い潰さない保証もない。
 時々様子を聞いて状態を確かめればいいかと、思考を切り替え次の議題に移った。
 探索者ギルド本部長は、多忙なのだ。




 鉱山都市のある大陸には大小様々な国が存在する。
 しかしどの国家にも所属しない鉱山都市、その住人の大半を占める探索者達は他の国の事にあまり感心がない。
 ――例えば、どこかの国の王様が毒殺されてお家騒動が勃発しても。

 その王様があおった杯は、妾に渡されたのを横からもってったモノだったらしい。
 妾が飲まされかけた毒を、王様が飲んでしまったと言う事だ。
 様々な証拠が出たため犯人は王妃と断定された。
 嫉妬に狂った王妃が妾に毒を飲ませようとして、誤って王様がその毒を飲んでしまったのだろうと。
 王家の血筋は王様側にあり、王妃や妾との間に生まれた子供は皆王家の血に連なる者である。
 が、王妃が犯人だと断定されたため、妾の生んだ王子が次の王として即位。
 王妃は処刑され、彼女の一人娘は追放処分となった。
 国内の貴族達は王女の行方を追ったが、元妾が手を回したらしくどこへ「送られた」のかすらようとして知れなかった。
 貴族達がこぞって探し、バレれば身の破滅と知っていても囲いたいと思った美貌を持った王女の名は、「フィリシエラ・サイオン・ラ・ミュウ・エンドース」と言った。
ちょーっと物足りないかなー?
突貫執筆したせいで説明とか足りなくなってるし、展開急ぎすぎたし。

でもこれ以上やると純愛路線に戻せなくなるかも。


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