インターホン国内最大手のアイホン(名古屋市)が北米事業を伸ばしている。オフィスビルや学校向けのテレビ付きインターホン(テレビドアホン)のヒットで、現地の2011年の売上高は過去最高を記録した。米国は専業メーカーが不在とあって、日本で培ったインターホン技術が現地の防犯ニーズを取り込んだ格好だ。
アイホンは、1980年代から90年代前半にかけて、テレビドアホンの世界販売に踏み切った草分け的な存在。10年以上前から米ホワイトハウスにドアホンを納入しており、少なくとも2カ所のゲートで出入りのチェックに使われている。
同社によると、米国では事前約束のない不意の来訪者は少ないため、インターホンが日本のようには普及しにくい。ただ、01年の米中枢同時テロ以降、防犯意識が高まったほか、学校での銃乱射事件も多発。来訪者への対応に敏感になっている。
そこで、北米向けの商品開発を強化。巨大なオフィスビルも使えるようにと、100台以上のドアホン端末を制御できる管理システムを06年に発売。インターネットを使って監視カメラやドアの解錠を遠隔操作できるシステムも昨年2月に投入した。
さらに「ブランドイメージの定着」を狙って昨年1月、日本でおなじみの「ピンポン」という呼び出し音を、米国で商標登録。あの手この手で攻勢を強めている。
この結果、米国の現地法人の11年の年間売上高は、前年比約1割増の3850万ドル(約32億1千万円)を記録。売り上げの約7割は業務用だった。村井徹海外営業部長代理は「現地ニーズに合った製品を作り、成果が出ている」と分析している。
(中日新聞)