北朝鮮が故金日成(キム・イルソン)主席の生誕100周年に当たる4月15日(太陽節)を記念する行事に、年間国家予算の3分の1に当たる20億ドル(約1670億円)以上をつぎ込むとみられることが、19日までに韓国政府の推計で分かった。このほか、太陽節を前後して、発射を準備している長距離ミサイル「テポドン2号」(北朝鮮は人工衛星「光明星3号」と主張)の開発、打ち上げ施設の建設費に約8億5000万ドル(約710億円)を投入したと推定される。
韓国政府の消息筋は「北朝鮮の昨年の国家予算は57億ドル(約4750億円)だったが、今回の行事だけで20億ドル程度が投じられるとの暫定集計がまとまった」と説明した。北朝鮮は今回の記念行事に、世界48カ国から110の代表団を平壌に招いた。旧ソ連圏A国の政府関係者は「北朝鮮は代表団100人余りを4月10日から17日まで招待し、航空運賃、宿泊費、滞在費用などを全て負担すると打診してきた。平壌には何度か行ったことがあるが、このようなことは初めてだ」と語った。同関係者は「舞踊団や芸術団など数百人が招待された国も多い。使節団の規模は1万人に達すると聞いている」とも話した。
北朝鮮はまた、今年の太陽節に合わせ、住民に「首領様誕生100周年を記念して、100種類の品物を配給する」と公言しているとも報じられている。韓国統一部(省に相当)当局者は「北朝鮮はこれまで、太陽節に外国からの賓客招待、祝賀行事、特別配給に少なくとも3億ドル(約250億円)、節目の年には8億ドル(約667億円)の資金を費やした。過去最大規模となる今年は、少なくとも10億ドル(約834億円)が投入される見通しだ」と述べた。
今回投じられる費用は、北朝鮮が昨年1年間、中国に石炭などを輸出して稼いだ11億4910万ドル(約958億円)に匹敵する資金だ。
北朝鮮は2-3年前から太陽節に向けさまざまな建設事業を進めてきた。柳京ホテル、万寿台地区の高層マンション、平壌民俗公園、万景台ウォーターパークなど、体制宣伝用の建設事業に少なくとも10億ドルが投じられたと推定される。さらに、綾羅島に建設中のイルカショー会場に海水を引くため、沿岸部の南浦から長さ約50キロの水路も建設している。
不足する労働力には、軍人と大学生を動員している。全国の主要大学に昨年6月から今年4月まで休校命令が下されたのもこのためだ。