北緯43度、北海道小樽市に近い余市町は、寒冷で凛と澄んだ空気、適度な湿度、そして良質な水が豊富なことからウイスキーづくりの理想郷とも言われています。

余市蒸溜所のポットスチル（蒸溜釜）は、胴体部分に膨らみがない「ストレートヘッド型」で、一般的に重厚でコクのあるモルトが生まれるとされています。
また、余市ならではの香り高く力強いモルトを生み出す最大の決め手となるのが「石炭直火蒸溜」。これは創業当時からの変わらぬ手法で、熟練の技と手間が必要なため、現在では世界でも極めて稀な製法となりました。

ウイスキーは、仕込み、蒸溜までの製造段階が半月もかからないのに対し、樽貯蔵・熟成の期間は数年から、ときには30年以上となるものもあります。私たちブレンダーは、樽の選定や熟成中のテイスティングを行いますが、長い歳月をかけて、芳醇な香りとまろやかな味わいのウイスキーを完成させるのは“樽”と“余市の自然”です。

特に「シングルカスク」は、違う樽のウイスキーを混和しない“その樽だけの味わい”。私たちの仕事は熟成のピークを見極め、最適なタイミングで皆様にお届けすることです。１樽だけしか出逢えない「シングルカスク」は、まさにウイスキーの神様からの贈り物と思えます。