2012年1月20日 18時8分 更新:1月20日 20時41分
東京証券取引所は20日、巨額損失隠しに関連して有価証券報告書に虚偽記載をしていたオリンパス株の上場維持を決めた。虚偽記載が市場に与えた影響は小さくないが、債務超過には陥っていないことなども考慮した。この決定に伴い、東証はオリンパス株について、上場廃止の可能性があることを示す監理銘柄指定を解除。一方で、企業の内部管理体制に問題があるとして投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に21日付で指定する。
同銘柄に指定されたオリンパスは、1年ごとに内部管理体制の改善状況を東証に文書で報告。東証の審査で改善が認められれば、指定が解除されるが、3年たっても改善されない場合は上場廃止となる。また、東証は今回の虚偽記載が株式市場に対する投資家の信頼を損ねたペナルティーとして、オリンパスに1000万円の上場契約違約金を支払わせることも決めた。
東証は、上場維持に関連して「純資産の訂正は最大で1235億円に上るが、売上高や営業利益にはおおむね影響していなかった」と指摘。「虚偽記載の内容は投資家の投資判断をゆがめるものではなかった」と説明した。また、「隠蔽(いんぺい)行為が一部の関与者のみによってなされた」ことなども総合的に勘案し、上場維持が適当と判断したという。ただ、東京地検特捜部の捜査が進展し、架空売り上げなど上場維持の判断を覆す事実が判明した場合は、再審査する可能性も指摘した。東証は、オリンパスの虚偽記載が上場廃止基準に抵触するため、昨年12月6日から上場維持の可否を審査していた。【浜中慎哉】