電気料金制度の運用見直しに関する経済産業省の有識者会議は15日、報告書をまとめた。電気料金の「原価」から広告宣伝費や寄付金を除くことや、人件費を算入する際に現在より2割安い基準を使うことなどが柱。原価を厳しく絞り込み、東京電力が予定している家庭向け電気料金の値上げ幅の圧縮を図る。
また、国が全電力会社について、定期的に料金が妥当か検証し、引き下げる余地があると確認した場合には、電力会社に値下げを命じることも盛り込んだ。今月中に省令を改正し、新制度として適用する。
電力会社は、燃料費や人件費などの費用に一定の利潤を上乗せする「総括原価方式」で料金を算定している。現在、家庭向け料金を値上げする場合は、原価が適正か経産省がチェックして認可するが、値下げや据え置きの場合はチェックはない。報告書は、値上げをしない電力会社に対しても、料金が適正か国が定期的に評価し、必要以上の内部留保や株主配当があれば、必要に応じて料金変更命令を出すことを明記した。
東電以外の電力各社は現時点で値上げしない方針だが、12年度中に国から評価を受けることになる。【和田憲二】
毎日新聞 2012年3月15日 20時38分(最終更新 3月15日 20時48分)