手直しのほうも終わったので、投稿したいと思います。
………致命的なミスは無いと思いたいなぁ。
第4話:そして、連れ戻された話
さて、エリア踏破も完了したので今度は図書室の本・資料室の資料を片付けることにしました。
………地下のダンジョン?知らね。
最初は【文珠】で〔速〕〔読〕とやろうとしたんですが途中で問題が発生。読めない本がある。
ちと古い言語のようで………
しょうがないので辞書を探し、〔習〕〔得〕する所からスタート。
その後、〔習〕〔得〕した内容を思い出しつつ〔理〕〔解〕して、成果を確認してから
改めて〔速〕〔読〕開始。
〔記〕〔憶〕だと本当に覚えるだけだからなぁ。応用とかが利かないのだ。
テストの為に一夜漬けしたはいいけど、それは後に残らない訳で。
で、色々勉強になりました。魔法使い的にも錬金術師的にも。
一番の成果は毒・石化・呪い等についての考察・研究レポートが書かれた本に出会ったこと。
色々解説してもいいのではあるが、これを解説しだすと長くなるので結論から述べよう。
石化治療薬の開発は材料さえあれば可能、ただしそれで治るかは分の悪い賭け。だそうな。
そこに書かれた治療の為の材料は、幸いにして『別荘』で調達可能な代物ばかりである。
むしろ、この時代ならば『別荘』でもないと調達できない物の方が多い。
問題は、悪魔の石化光線?を直せるほどの薬が完成するかと言う点だ。
例えば爵位持ちの悪魔だと、永久石化クラスの石化を行ってくる事もあると言う。
そうなってくると、ここに書かれた薬では治療不可なわけで。
どちらにしろ、石化サンプルがあるわけでもないので本の通りに作るしかないという。
読み直したり他の資料とか本を参考にしたりして、修正かけられる所はかけるつもりでいるが。
しかし、ぶっちゃけてしまえば俺が無理に作る必要はどこにもないのだ。
既に治療・解除する為の手段は確立しているし、それを使えばいいわけで。
なら、俺はどうしてここまでやる気なのか。自分でも実はよく分かっていない。
ある種の意地なのか、ただの自己満足なのか………。
その作成と調査の傍ら、本の中で興味があったものを色々試してみる事にする。
と言っても精々遅延呪文・無詠唱魔法くらいでしたが。
前者はキーワードや時間を設定しておく事で、
自身に待機していた魔法を発動させる手段である。
最も、余り長時間は待機させて置けないらしい。
まぁ、待機時間過ぎても暴走するわけじゃなく消滅するみたいなのでよしとする。
後者はその通り、一つの魔法を発動しつつ別の強力な詠唱呪文を詠唱できると言う物で。
まぁ、意識せずに詠唱できる呪文としか併用できないと言う問題点はあるみたいが、
そこは慣れと実践あるのみである。
後、これは資料のみだが『闇の魔法』と言われる物もあるそうで。
何でも自身が唱えた魔法を体に取り込んで劇的パワーアップを図る、と言う手段だそうだが。
ただ、これを習得しているのが『闇の福音』と呼ばれるその筋では有名な吸血鬼
(エヴァンジェリン・グーデリアンだっけ?そんな名前の真祖吸血鬼。600年物)だそうで。
そんなもんとほいほい会えるか!仮に会った所で教えてくれるか!
と言うか、かち合った瞬間それは戦闘だろう常識的に考えて。
何しろ、相手は泣く子も黙る元600万ドルの賞金首。
ここ十数年は全く活動の報告を聞かないために賞金こそ凍結されている状態ではあるが、
いつどこで人間に牙を向けるやら………
頼むから、孤島に城を構えて血袋と一緒に優雅な吸血鬼ライフを送っていて欲しいものである。
で、一番ショックだった事。
魔力容量を増やす為の魔法をぶっ放したり負荷を掛けるトレーニングって、非効率的だそうで。
生まれた段階で魔力容量の殆どは決定してしまうそうです。
なんと言うか、筋トレにはうさぎ跳びだ!と頑張ってきたのが無駄なぐらいショックです。
と言うか、折角作った魔力養成ギプスシリーズが………ゴミ一歩手前に。
けして全く上がらない訳ではないけど、どっちかと言うと魔法の効率化とか
そっちの方がいいらしい。
容量は増えにくいけど、使用量は減らせるよね?と言う事で。
そんな訳で効率化の方に力を入れてみることにしました。
地下のダンジョンにもちょっとだけ足を踏み入れてきました。
地下1階の段階で怪物のスペックがおかしい。
撤退する間もなく秒殺されて、気が付いたら入り口で寝てた………どーなってんだ。
どうやら死なないらしいと判断したので、改めて突入するとさっきと構造が違う?
………不思議のダンジョンだこれっ!!そりゃMAPもねーわ。
結局、やっぱり秒殺されて入り口へ。ダメだこりゃ。
と言うか、エンカウントした見た目辮髪に仮面を被った伸縮自在のトンファー使いマジ強かった。
必殺の宝具連続発射を全て回避、打ち落とすとかアンタは一体なんなんだ!!
この城の自動人形に聞いてもダンジョンについては何も知らないとの事。
ゲーム的に言うと、2周目の後半以降から突入できる資格があるような所なんだろう、きっと。
この件に関して俺に出来た反抗はただ2つ。
入り口に首吊りロープをぶら下げる事、
そして「この入り口を潜る者、一切の希望を捨てよ」と看板を立てておいたくらいである。
しかし、何の為のダンジョンだこれ? 地下に大魔王とか住んで無いだろうな。
まさか、このダンジョンの地下最下層に住む者こそがこの世界の隠しボスかも知れん。
もしくは、地下を降りきると荒廃した大地と対照的なまでに秩序だったアーコロジー
があるとか………いやまさか。
しかし、それよりも大事な事がある。
一体誰が、俺をダンジョンの入り口に戻したのか、と言う事だ。
とまあそう言う感じで、本を読みふけって石化治療薬の開発に乗り出しつつ、
気分転換に魔法の訓練をしたり各エリアに遠出してみたり。
幸いにして、暇と時間だけはあったのでひたすら頑張りました。
勿論、外の事も忘れてません。
大体2日に1回は外に出て依頼を受けたり戦利品や素材を捌いたりしてます。
そんな感じでかれこれ合計『別荘』時間で6年ほど過ごした計算になりました。
(実年齢:まだ7歳。肉体年齢:19歳)
この数年でだいぶ逞しく、わんぱくに育ったと自負しています。
石化治療薬も無事完成しました。
もっとも、6年の大半の時間はこいつに費やした訳ですが………それだけの完成度はあります。
勿論、臨床試験もやりましたよ?
正確にはまさか使うことになるとは思わなかった、ですが。
それ以外にも気分転換とかに色々作ってみたり。何かの機会で紹介するかもしれません。
あ、意外と年齢が上がってる事はばれてません。
時々外に出て活動してる、と言うのも手伝ってるでしょうけど。
まぁ、気にして無いだけかもしれません。
管理人さんなんかは「依頼に出るたびに逞しくなっていくわね、若いっていいわ~」
とか言ってましたが。
正確には依頼から帰ってから逞しくなるんです。
後、貴方もまだまだ若いです。夜とか特に思います、はい。
で、そんな俺にも危機が迫っています。
ある日懇意にしてる情報屋が教えてくれました。
何でも『悠久の風』が自分を探しているそうです。
またどうしてそんなビッグネームな組織が、と思ったけどそりゃそうだ。
かれこれ2年………3年近く失踪してる状態だしなぁ、世間的には。
黙っておいてね、と幾らか握らせておいたけど………向こうが幾ら積むかだ。
もしくは俺の払った額と相手のネームバリュー、どっちが上回るか。
うわ、ダメっぽい。
いや、別に帰りたくないわけでは………当初の予定年数の半分も消化して無いのか。
『別荘』を含めると余裕ぶっちぎって消化してるわけなんだが。
石化解除手段は確保したので帰ってもいいが、ここで帰ると
原作開始前まで燻る必要がある予感!
『別荘』に入っててもいいけど、そんな暇があるかどうか。
こういう事やっちゃってるから監視の目が厳しいだろうしなぁ。正直読めない。
ん………閃いた。
取りあえず、【王の財宝】から〔破戒すべき全ての符〕出して、
それと作っておいた石化治療薬を一緒にメルディアナの魔法学校に
郵送すればいいじゃないか!
冷静に考えてみるとなんつーもんを郵送で送ろうとしてるんだ俺、と言う感じはするが
他に手段はなさそうだ。
【文珠】の複数同時使用は俺だけしかできないしなぁ。〔解〕〔呪〕案はお預けと言う事に。
いや、一応〔転〕〔移〕で自分が届けてこっそり帰るプランもあるけど、
魔法学校がイメージできん。なんと言うか冒険者生活が長くて濃すぎて………忘れかけてます。
帰ってみると「あー、懐かしいなぁ」と言う感覚になるだろうみたいな。
後、根本的な問題として現実世界と魔法世界の明らかに隔絶された距離を
〔転〕〔移〕することが可能なのかどうかだ。
やったはいいが、全く別の異世界に移動したとかマジ勘弁して欲しいです、と言う。
そう決まれば善は急げ、早速準備である。
取りあえずは自分を欺瞞する所からスタートである。
この姿格好なら当人とばれる事は無いと思うが(そもそも、10歳以上も上だ)、
魔力反応を辿られる恐れがある。
折角なので魔力を隠蔽するブレスレットとアンクレットを用意してみた。
と言っても、全く魔力を隠蔽する訳ではなく人並みの魔力量しか無いように欺瞞する訳である。
ついでに、魔力と言うのはある程度個人の「色」と言うか指紋のように個人差があるのだが、
それを分かりにくくする作用もある。
この時、俺は物凄いポカミスをかましていた。
俺は『悠久の風』が『ネギ・スプリングフィールド』を探している、と勘違いしていたのである。
探していたのは『アルミール・カモベール』だった………冷静に考えればそりゃそうだわな。
そんな事は露知らず荷物を異次元バッグへ放り込んで、
長い間離れるから部屋を解約する旨を管理人さんに。
現実世界まで荷物を届けてくれるような運送会社となると、大都市の方に行く必要があるのだ。
………流れ流れて腰を落ち着けていた片田舎の中規模都市には流石にないのです。
そういう事は早く言えと怒られました。
むしろ、明日にしろとお願いされました。
翌日、すっきりした笑顔の管理人さんに見送られて旅立つ事に。
………何も言うなっ! 俺だって男なんだっ!!
そして日数かけてやってきました大都市に。
やっぱ喧騒具合が違うわ。おのぼりさんになりそう。
まずは飯食って、そっから郵送するか………しかし、どれくらいの値段になるのやら。
どっかで宿とってもう一つ異次元バッグ作成してそこに放り込んだら鞄一つ分じゃね?
よし、そうするかと飯屋で飯食いつつ脳裏で今後の活動をシミュレーションしていると、
それは来た。
一瞬静まり返る店内。
1人の男が入店してくる。
背広を着こなした眼鏡の中年男性-歳は30代後半ちょいか?-だ。
無精髭を生やしたやたらダンディな人だ。
そいつは、真っ直ぐ俺の方へ近づいて飯を食ってたテーブルの真向かいに座ると
辺りに会話を聞かれないようにしながら、俺に話しかけてきた。
「ネギ・スプリングフィールド君だね?」
「違います。」
真顔で超即答。コンマも掛かっていない。
人の発言に被せなかっただけ感謝して欲しい。
そして、無言でお互い視線を交わす。
見た感じ俺より強い。
戦いなれた歴戦の戦士、と言うオーラを感じる。
俺が、なりふり構わず全力全開で行けるなら勝てるだろう………と言う所か。
そんな事をすればこの飯屋が全壊確定・流れ弾で重軽傷者多数なのだが。
取りあえずはこのテーブルをひっくり返して目くらましにする所からスタートか?
【文珠】でも構わないが………
「うん、確かに僕の勘違いだったようだね。」
俺が行動に移す前にあはは、と笑うダンディメガネ。
「今の君は『アルミール・カモベール』君だったね。」
そう言って俺に投げて寄越したのは………俺の偽造身分証じゃねえか!?
いつの間にスリ取られた?いや、そもそも鞄から出してねぇぞ?
「まず、君を探す為にやったことはどこへどうやって移動したか、と言う調査からでね。」
と尋ねてないのに語りだすダンディメガネ。
ミステリ物で片平なぎさ(船越英一郎でも可)主演の素人探偵が
断崖絶壁の崖の上で犯人を問い詰める並に長い話なので、ダイジェストでお送りします。
まずは俺の顔写真から年齢が上がった場合どう変化するかをイメージして、
(見せてもらったが、今の俺と殆ど同じ顔だった。ダンディ曰く親父にそっくりとの事)
年齢が上がった状態の写真を作成し、そこから近隣の空港・港・転送ポートを虱潰しに
聞いて回ったらしい。
5歳児の状態で密航すると言う可能性はあったが突然錬金術を初めた所を見ると、
この『家出』は予め計画していた可能性の方が高く、堂々と出国した可能性を考慮したらしい。
同時に俺の交友関係-と言ってもお祖父ちゃんとネカネさんとアーニャさん以外を除くと
ごく僅か-を洗い出し、そこから俺と外の接点である魔道具などを扱う店を特定。
後は、芋づる式に俺が偽造身分証明書・旅券等を用意して貰った場所とかを突き止めたという。
で、投げて寄越された偽造身分証明書。
作る方は作る方で何かあった時の為の保険としてもう一通作成していた様なのだ。
それを持ってきたそうである。こういう事態を予測して。
そこから魔法世界に移動して(ゲートの関係で時間が空いたそうだが)、
地道に聞き込みを進め………る必要は然程なく。
冒険者界隈で最近時々名前の挙がる『アルミール・カモベール』の足跡を辿ってた、と。
その頃には俺が遺跡なんかに一人で潜る事もあったので、
足跡を辿るのが難しくなったそうなのだが。
吸血鬼-それも真祖級-を一匹滅ぼしたと言う有名なPTの一員に俺の名前を発見。
(幸か不幸か、俺が『別荘』を持ってると言う話は聞いてないようだ。
俺が吸血鬼化を治した、と言う事以外をダンディが喋らないと言う事は、知らないに違いない。)
そこから再び足跡追跡。
そしてようやく今日追いついた、との事である。
………あれか、一日余分に泊まったのが仇になったか!?
まさか女性で失敗するとは思わなかったっ!
いや、タッチの差だからそれほど嘆くような原因でも無いか。
一番の原因は冒険者としてそこそこ名を上げちまった、と言う事か。
まぁ、ともかくそこまで語られると俺の完敗である。
『マギウスクエスト ネギの奇妙な大冒険』完、である。
しかもアンケート悪くて打ち切りルート。
第二部にご期待下さい、となるかどうか。
「俺の負けです、刑事さん………」
と神妙な顔をして両手をグーにして手首をくっ付ける形で上に向けた状態で出す。
これが日本の伝統的な手錠をかけられるスタイルだっ!
今の俺に出来るのは、敗者である事を受け入れるだけ。
………この屈辱をばねに、次こそは勝つ!!
「じゃ、行こうか………じゃなくてね。」
意外とノリがいいぞ、このダンディメガネ。
ノリダンディと名前を変えてやろう。
「え、俺はここにいていいんですか?」
行こうか、じゃないと言う事はそういう事だろうと明るい顔で聞いてみた。
明るい顔で違うよ、と返されました。おい話が違うぞ。
刑事ではないそうです。
名前は高畑・T・タカミチと言うそうで、噂の『悠久の風』のメンバーとの事。
俺の親父とも面識があったそうで。
ノリ・ダンディ高畑本人は親父のことを話したがってそうでしたが、あえて尋ねませんでした。
今更いない親父のこと語られてもなぁ。俺は俺だし。
取りあえず、そのミドルのTは何のTだ、と聞いておきました。
笑って誤魔化されました。
いいだろう、お前のそのTは俺の中ではテンタクルスのTだ。
怨むなら自分のその浅はかさを怨むといい。
こうして結局、俺は荷物を故郷へ送るどころか俺自身が故郷へ送られる事に。
あ、ちゃんと年齢は相応の年齢に戻してます。詐称薬で。
まさか年齢を下げる為に飲む事になるとは思わなかったぜ………
Tが何の略なのかってどこにもありませんでしたよね?
俺が見落としているだけか………?
ここまでの話を読み返すと魔力容量に関しての食い違いがひどいです。
………まぁ、主人公が勘違いしていた+実際に容量が増えた感覚は掴めていたので
気づこうともしなかった、と言う辺りでお願いします。
うさぎ跳びがどれだけ非効率だろうが、
やった人間が満足してるなら問題ないだろう、と。
プラシーボ効果とも言う(多分違う)。
8/23
改行。
幾つか文章を手直し。
「が」→「を」とか「世界移動」→「全く別の異世界に移動」など。
8/25
「600万ドルの賞金首」→「元600万ドルの賞金首」に変更。
横棒で線引っ張ってあるんですよね、あれ。
【文珠】を大量に送りつける部分を削除。その関係で文章訂正。
よく考えると、複数使用可能なのは製作者だけだろうあれ。
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