初めてな上、駄文でございますが宜しくお願いいたします。
第0話:つまり、いかに転生するかと言う話
その日、俺は死んだ。
走馬灯によぎったのは不幸な出来事ばかりであった。
生まれてこの方、俺は不幸の連続だったといっていい。
生まれてすぐに両親を無くし、親戚の間をたらい回しにされ続け。
ろくな学校にも行かせて貰えず、友達すらろくに作れない。
成績が悪いわけでも無いのに、このご時勢かまともに職にもつけず。
その他諸々大小含めて生きててよかった、と思ったことがろくに無い。
それでも世を儚んで自殺、などと考えなかったのは単に死ぬ根性が無かったと言うだけに
過ぎない。
……痛いのは嫌だし。
そしてそんな俺の最後は、突然突っ込んできた車に引っ掛けられた挙句地べたを引き摺られるという最悪の終わりであった。
想像してみるといい、時速60kmは出ている車に引き摺られてガリガリ言わされる状況を。
どっかの吸血鬼漫画で壁で顔面紅葉卸にされた姉御の気持ちが少しはわかった、
とだけは言っておこう。
そして気がつけば、俺は待合室に座っていた。
どうしてここが待合室だと分かるのか、そもそもここはどこなんだ、そんな事を考える前に
俺を呼ぶ声がした。
目的地であるZ-000番窓口、と書かれたカウンターまで歩く際に、周りを見渡してみる。
……あれだ、職業安定所をイメージすると分かりやすいと思う。
もっとも、広さはハンパ無く広いが。
そして老若男女、国籍も人種も違う人間が座っていたり話し込んでいたりする。
ようやくどうにかこうにかZ-000番窓口に到着、
カウンターの向こうに座っている綺麗なお姉さんがどうぞ、と席を勧めてくれるので
どうも、と言いつつ座る事にした。
しかし、このお姉さんは美人である。どれぐらい美人かと言うとすげぇ美人。
お前は何を言っているんだ、と思うかもしれないが美人なのだ。
それ以外の形容が出来ないくらいに美人。
粗茶ですが、とそのお姉さんが出してくれたお茶に手をつけて―美味かった、天にも昇るぐらい―から本題に入ることにした。
「ここ……どこっすか?」
そう、まずはここからだ。
いや何となく想像はついているのだが、一応念のため確認である。
「はい、こちらは天国と地獄の狭間になります。
言ってしまえば、あの世と言う事になるのですが。」
……だよな。俺死んだもんな。
しかし、狭間という割にはやたら人間臭い……と言うか現代的というか。
「この時代に合わせた様式で建造していますので。
世界・時代・種族・文化等に合わせて多数存在していますよ。」
と俺の疑問に答えてくれた。
つまり、犬と猫は違う待合室だったり、SF世界とファンタジー世界でも違う待合室だったり
するんだろう。
SF世界の犬とファンタジー世界の犬は別の待合室になるのか、と言う事は?
そこまで考えて俺は考えるのをやめた。あまりにも不毛な考えだし、何より神かそれに近い存在が考える事に突っ込むだけ野暮だ。
「それで、本来なら死ぬまでの人生をこちらで審査させていただいて、
どちらへ送るか決めるのですが……」
本来なら?
あれか、俺の死因は神様のうっかりミスとか、てりやきバーガー食いながら書類仕事してた担当がソースで書類汚したとかそんなのか?
それとも、余りにも貴方が不幸なので天国へ無条件ご招待、とかいうやつか?
そんな風に聞いてみると、お姉さんは一枚の書類を出してくれた。
やたら古い。紙、それも色が変色しているのを考えるとかなり古い。
文字もやたら汚くて読めたもんじゃない。誰だこのミミズののたくったシャンポリオンを呼ばざるを得ない字を書いたのは?
「貴方です……正確には、前世の貴方と申しますが。」
お姉さんの話してくれたことによると、何でも俺の前世が『転生プラン』の適応を申請し、
それが通ったらしい。
『転生プラン』とは、ぶっちゃけて言ってしまえば有利な条件で転生ができる、と言うものである(他にも色々あるらしいが)。
よっぽど俺の前世は転生に憧れていたんだろう。
まぁ、俺も興味が無いわけではない。そういうジャンルがあることくらいは知っている。。
俺の生前の不幸はそれが原因だという。
つまり、「次の転生では不幸まみれの人生ですが、その次の転生では薔薇色の人生が
待ってますよ」と言う事らしい。
まぁ、転生先or生まれ変わった人生の選択によって多少は変動―最悪死ぬ、が多少かどうかはともかく―するそうだが。
そりゃいくらオールマイティな才能があってイケメンで金持ちでモテモテだろうが、走ってるトラックの前に飛び出れば死ぬ時は死ぬな。
そこまでフォローはしない、と言う事だろう。
そもそも、前世でそんなプラン適応してたとか本人が気づかんだろうし。
死んでここに来て絶望するのが関の山だと思う。
で、ここからが問題なのだ。
『前世の俺』はこのプランを1000倍掛けしたらしい。つまり、単純に考えて俺を含めて1000人の『俺』が不幸まみれで死んだ事になる。
そして、999人はここに来て「来世も不幸まみれです」と言われたわけだ………涙が出てきた。
と言うか、1000倍掛けなんてするんじゃねーよ。どんだけ転生に憧れてるんだよ。
そもそも1000倍掛けを通すんじゃねーよ。普通2倍とか5倍とか10倍が限界だろう。
「書類は正式な形で通りましたので………」
申し訳なさそうにお姉さんが言う。丸っきりお役所仕事かよ………
いや、こんな職場でアドリブ効かせてるとそっちの方が大惨事なのか?
それに、どうもこのお姉さん、話を聞くと『俺』の専任らしい。
通したからにはきっちり責任取れよ、と言う事だろう。
そう考えると、少しだけ気の毒だとは思ったが同情はしない。
そうだ……俺が「じゃあ、俺も1000倍掛けすると1000×1000で1000000になるから
そのプラン教えてください」って言うと?
座ってた椅子から立ち上がっておもむろに床に頭こすり付けてそれだけは勘弁してください、
と土下座されました。
むしろ泣き出しそうです。
と言うかすいません、『俺』がご迷惑をおかけしました。
何でも、法の穴を突くような荒業で1000掛けを通したとか何とか……
そこまで転生したかったのか、『俺』。
という訳で、改めて席に着きなおしたお姉さんと話を再開する。
限りなくグレーに近いが正式な形で受理されてしまった以上、俺の来世は凄いスペックで生まれ変わるという。
どれくらい凄いの?と聞くとそれはもう凄いんです、と返された。
その辺の細かい所―転生後の能力、場所、人物など―は選択できないらしい。
とは言え、プランの趣旨的にまともじゃない転生はない、とのこと。そりゃそうか。
これで「転生して幸せに暮らしました、犬として。」とかだと泣く。
ただ、特典として俺の意識・記憶は残るとの事。もっとも、赤ん坊時代から意識・記憶があるとかいう事はないそうだ。
しかし、プラン掛けた『俺』涙目じゃねーか。
遥か前世からの悲願達成、と書くと実に感動的に聞こえるが。
ちなみに、転生じゃなくて憑依って言うんじゃないのか?と聞いてみたが1から始める分には
どちらも差はありません。と返された。
……間違って無いようなそうでないような。まぁ、その手のプロが言うんだからそうなんだろう。
「それではあちらのドアからどうぞ。よき人生を歩めますように。」
にこやかな笑顔のお姉さんに見送られ、俺はすぐ横のドアを開ける。
光が溢れ、同時に俺の意識は薄れて行った。
光しか無い世界。
そこは、一面の白であった。
気がつけば、俺の意識は水のようにそこに浮かんでいた。
そんな俺に響く声。
〔始めまして、■ ■■さん。この度は当『転生プラン』をご利用いただき、ありがとうございます。〕
〔現在、貴方様は転生のプロセスを経ている最中でございます。その間に、転生体に実装される能力の解説をしたいと思います。〕
どこかで聞いたような、聞かなかったような、そんな声だ。
〔【神の頭脳のルーン】が実装されました。
これにより、あらゆるマジックアイテムの使用が可能になっております。
付加効果として、マジックアイテムへの鑑定・解析能力をお付けしておきました。〕
〔【白兎のARMS】が実装されました。
これにより、驚異的な脚力・飛行能力・そして最終形態の使用が可能です。
なお、【白兎】自身の意思はございません。ご了承下さい。〕
〔【幻想殺し(イマジンブレイカー)】が実装されました。
これにより、超能力・魔法などの異能を無効化することが可能になっております。
付加効果として、この機能のON/OFFをお付けしておきました。
なお、ご自身の異能に関しては使用可能です。〕
〔【神の左手のルーン】が実装されました。
これにより、あらゆる武器の使用が可能になっております。〕
〔【直死の魔眼】が実装されました。
これにより「モノの死」を知覚する事が可能になっております。
付加効果として、この機能のON/OFFをお付けしておきました。〕
〔【王の財宝】が実装されました。
ご自身の空間と繋がっている宝物庫を所持しております。
多数の宝具を含めた財宝を収めてありますのでご自由にお使い下さい。
なお、乖離剣・天の鎖は実装されておりません。〕
〔【文珠】が実装されました。
文字を込める事によってその文字の効果を発揮するアイテムを生成・使用可能です。
なお、大極型文珠は実装されておりません。〕
〔以上が、転生先の貴方様の持たれる能力となっております。
ですが、最初から全てを所持している訳ではございません。
また、すべての能力が最初から全力で使用できるわけでもございません。
その辺はご了承下さい。〕
これはひどい。
いや、能力はどれも破格過ぎる。十分だ。一つでも贅沢すぎるくらいに。
だがしかし、まとめて渡す必要は無いだろう?
と言うか、『それはもう凄いんです』とか言うレベルじゃないだろうこれは。
なんと言うか、別の意味で『まともじゃない』転生じゃないか。何この設定キメラ。
「ぼくのかんがえたさいきょうのきゃらくたー」でも可。
少なくとも前世の『俺』は満足だろう、間違いなく。
『転生作業、間もなく終了いたします。よい人生をお送りくださいませ』
しかし、どう見てもチートなこの状態でも『最悪死ぬ』のか。
どんなスパルタンな世界観なのやら。
逆にママレード・ボーイやらサザエさんみたいな世界観にこんな設定で行くのも
勘弁願いたいが……
そして、俺は『誕生』した。
行がおかしくなって無い事を祈って!
後、これを投稿する前にキーワード設定して10文字オーバーのため、
結局1から設定しなおしたのは黙っていれば分かる事。
と言うか、設定間違えてないか今でも胃に来てます。
8/17
投稿。
同日
案の定行がおかしかったので訂正。
行の並び方が文章としてなんか変だ………(汗)。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。