今月20日に完成する阪神電鉄三宮駅の東改札口が16日、報道関係者に公開された。利便性向上、混雑緩和が期待される一方、改札の増設で「2方向避難」が可能となり、安全面でも大きく前進。近隣の地下駅でも改札の増設が続き、国土交通省によると、兵庫県内の地下駅はすべて2方向避難が確保されるという。
同駅の改良工事は、2007年10月に着手。東改札口の完成により、商業施設などへのアクセスが向上し、阪神電鉄は乗降客のうち、約3割が東改札口を使うと見込む。
一方で、工務部の植村弘課長は「安全面についても大きな目的を達成できた」と強調する。
地下駅の構造をめぐっては、運輸省(当時)が1975年、地上まで異なる2以上の避難通路を設けるよう基準を制定。三宮駅は西改札口しかなく、阪神も対策を検討していたが、立地条件や事業規模などが課題となり、着工が遅れていた。
2003年2月に韓国・大邱市で起きた地下鉄火災を受けて動いたのが神戸高速鉄道。この火災で、国交省は2方向避難の確保へ補助を出すようになり、同社は09年、避難路が一つだけだった大開、高速長田駅の改札口を増やした。
国交省鉄道局によると、大邱の火災以降、地下駅での改札口の増設が進んだ。12年度中には、国内全地下駅で改良工事が完了し、2方向避難が実現する予定。(小川 晶)
(2012/03/16 20:40)
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