すでにこちらでご案内の通り、私のブログ(徳丸浩の日記およびHASHコンサルティングオフィシャルブログ)に貼っていた「はてなブックマークボタン」により、読者の皆様の閲覧行動がマイクロアド社によりトラッキングされておりました。読者の皆様に断りなく不快な結果を強いていたことに対してお詫び申し上げます。既に当該ボタンは撤去しております。
その後、株式会社はてな社長の近藤淳也氏およびはてなの日記にて行動情報の提供をやめる旨のアナウンスが一昨日ありました(こことここ)。さらに、マイクロアド社からは、昨日以下のアナウンスがありました。
今後マイクロアドでは、ブログパーツや外部ボタン等、マイクロアドと直接提携関係にあるパートナー以外の第三者にあたる媒体・配信面に付与される可能性のあるものについて、それらの表示領域にマイクロアドからの行動履歴情報の蓄積を無効化するオプトアウトページへの導線設置を義務化いたします。
http://www.microad.jp/press/20120314/
ちょっと分かりにくい文面なので、はてなブックマークの例を使って補足すると、「直接提携関係にあるパートナー」が株式会社はてな、「第三者にあたる媒体・配信面」は私の日記、「それらの表示領域」は「はてなブックマークボタン」になります。
ということは、仮に、はてなブックマークボタンが行動履歴収集を継続していた場合、はてなブックマークの表示領域に「マイクロアドからの行動履歴情報の蓄積を無効化するオプトアウトページへの導線設置を義務化」されることになります。
しかし、読者がオプトアウトしたいと思うためには、まず、当該ボタンが行動履歴を収集していることを表明していなければならないはずです。
これが、「直接提携関係にあるパートナー」に表示される広告などの場合は、パートナーサイトのプライバシーポリシーにて、行動ターゲティング広告を利用している旨を告知しているはずです。たとえば、NAVERのプライバシーポリシーには、以下のように明記されています。
また、本サービスでは効果的な広告配信のために当社と提携する会社が提供する行動ターゲティング広告を利用しています。行動ターゲティング広告提供会社が利用するクッキー等に関する説明、無効化の手順については提供会社サイトにてご確認いただけます。
http://www.naver.jp/privacy/policy/
これに対して、「第三者にあたる媒体・配信面」については、プライバシーポリシーに上記告知はないはずです。このため、「オプトアウトページへの導線」を表示する前に、行動履歴を収集している旨を読者に告知しなければなりません。
この方針に沿って、はてなブックマークボタンが、仮に行動履歴収集を続けていたら、以下に示すようなボタンになるのではないでしょうか。
実際には、前述の通り「はてなブックマークボタンから収集した行動情報の第三者提供をやめます」とのことなので、上記ボタンが使われることはないはずです。現実のブログパーツとしてはどのようなものがあり得るのでしょうか。以下、それについて考えてみました。
ブログパーツが読者の行動履歴を収集する場合、ブログ主には金銭的なメリットがない代わり、行動履歴が収集されるというデメリットもありません。デメリットがあるのはブログ読者の方です。従って、読者が行動履歴を収集される見返りに、読者にとって相当魅力的なコンテンツが表示されるべきでしょう。私が妄想したコンテンツは以下です。
それは、魅力的な男性あるいは女性が時計を持っていて現在の時刻を教えてくれるものです。読者にとって魅力的であることが望ましい訳ですが、マイクロアド社の誇る行動分析を駆使しして、読者が魅力的と思う異性(読者によっては同性)の写真を表示してくれることでありましょう。読者はそれを見て、「すげー、めっちゃストライクゾーンじゃん、気持ちわるー」と驚いたり、「なんだ、全然分かってないな、ダメじゃん」と呆れたりすることできます。
私は行動ターゲティング広告自体を否定するものではありませんが、ブログオーナーないし読者として、透明性の高い説明を要望すると共に、読者にとっても魅力的なコンテンツ提供につながることを希望します。
・従来のボタンを表示
・クリックしたら、モーダルボックスで、例示のような注意文とリンクを表示(かつ、「分かったから、この画面はもう見ない」チェックボックス)
・承認した人だけが、「OK」ボタンを押してブクマ。「オプトアウトでブクマ」ボタンもある。
みたいなUIでどうでしょうか。
でも、ご提案の方法では駄目です。ブログパーツは、ボタンを押さなくても行動履歴を収集するのです。ボタンを押した結果「実は行動履歴を収集しています」では告知が不十分です。ボタンを押さないユーザであっても、一目で「行動情報を収集」していることを告知する必要があります。
デザイン的にキツイことはむしろ狙っておりまして、元のマイクロアド社の主張にそもそも無理があることを視覚的に示すことが本エントリの狙いです。
http://www.microad.jp/press/20120314_2/
ちょっとフォローのしようがないですね。
ですので、一目で告知するという目的を果たすためには、たとえば「このブックマークボタンは、ボタンを押下するかしないかに関わらず、…」などのように明記するとか…。
えむけいさんの感想に私も同意です
これはすなわち、ブログパーツに「オプトアウトページへの導線設置」した程度では、読者の理解が得られるはずがないということで、私がこのエントリを書く上で主張したかったことになります。