「この水素爆発を予測できなかった班目氏は、自信を喪失したのでしょう。その直後、菅首相から『海水を入れて、再臨界しないと言い切れるのか』と質問された際、周囲に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で、『しないとは言い切れません』と返答し、注水中断を指示する事態を招いてしまったのです」
3月15日、政府の原子力災害対策本部は、東京電力本店(東京都千代田区)に乗り込み、「政府・東京電力統合対策室」を設置した。以後、ここを本部として、ヘリコプターを使った空中からの海水散布や、3月22日からは、高層ビルの建設現場などで使用される生コン圧送機「キリン」による放水など、人類は〝怪物〟への「反撃」を試みていく。この頃の原発を語る上で、東電トップに逆らい、独断で原子炉への海水注入を続けた福島第一原発の吉田昌郎前所長(57)の存在は極めて大きい。海江田氏は、吉田氏との初会談をノートを見ながら回想した。
「吉田所長と面談したのは、3月27日の午後です。事故以来、初めて吉田所長が現場の福島を離れて東電本店に報告に来るというので、東電にお願いし、二人きりで会う機会を作ってもらいました。場所は東電5階の会議室。節電のため薄暗い部屋に吉田氏が入ってきました。
吉田氏とは、東電本店に詰めるようになってから、毎日のようにテレビ電話で話していましたが、直接会うのはもちろん初めてです。長年文通をしていた友人に初めて会うような感覚でした」
海江田氏によると、二人が交わした会話は、次のようなものだった。
「本当にお疲れ様です。最初はずいぶん無理も言いましたが、あなたの頑張りで何とかここまで来ました」
「ありがとうございます。私もできるだけのことはしようと思っていました」
「私はタバコを吸うのですが、吸っても構いませんか?」
海江田氏がこう尋ねると、吉田氏は相好を崩したという。
「よかった。私もタバコ吸うのですよ」
二人でタバコを燻らせながら向き合って座り、語り合ったという。
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