津波を見て「これはダメだ」
本誌は海江田氏から、事故発生から時系列で起きた出来事の聞き取りを始めた。3月12日午前9時04分、ベント(圧力容器内に溜まった放射性物質を含む蒸気を外部に排気すること)作業を実施---。同日午後2時には1号機で「ベント成功」の報告があった。その日の早朝、菅直人首相(65)は、原子力安全委員会の班目春樹委員長(63)を伴ってヘリで原発上空を視察し、そのことがベントの遅れに繋がったと批判されている。海江田氏は、ノートを繰りながら、当時の様子を語った。
「第一原発の1号機でベントが成功したとの報告を受けた時のことです。それでも1号機には冷却水が不足する恐れがあり、事態は切迫していました。この前後、原子力災害対策本部のメンバーは、拠点を首相官邸5階の応接室に移しています。危機管理センターの部屋は非常に手狭で、携帯電話も使えないなど不便だったからです。この応接室で最初に話し合わなければならなかった議題は、1号機に注水している真水が切れた後、どうやって炉心を冷やせばいいのか、でした。
しかし、ふと見渡すと、班目委員長の姿がなかったのです。私は周囲に問い質しました。『班目委員長の姿が見えないようだが・・・・・・』。すると、こんな答えが返ってきたんです。『総理と現地視察をした後、(東京都)文京区内の自宅に帰ったようですが』。頭から血の気が引くような感覚に襲われました。
私は、『すぐに呼び戻してくれ! 着替えに帰るくらいならいいが、家でのんびりされでもしたら困る』と声を荒らげました。閣僚や事務方の役人で、事故発生後から自宅に帰った者などおらず、着の身着のまま、食事も満足に摂らずに事態収拾に当たっていました」
班目氏が首相官邸に姿を現したのは、約1時間後。髪やひげがさっぱりした様子から、一見して一っ風呂浴びてきたということが分かる格好で、悪びれもせず、官邸の応接室のソファにどっかり腰を下ろしたというのだ。しかし、班目氏が会議に戻って間もなく、事態は暗転する。3月12日午後3時36分、1号機で水素爆発と思われる爆発が起きたのだ。
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