安美錦(手前)を寄り切りで下す把瑠都=大阪府立体育会館で
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◇春場所<7日目>
綱とりの大関把瑠都(27)=尾上=は関脇安美錦を落ち着いて寄り切り6勝目を挙げた。横綱白鵬(27)=宮城野=は旭天鵬を左上手投げで退け、大関日馬富士を寄り切った関脇鶴竜とともに全勝を守った。日馬富士は2敗目。
他の大関陣は、琴奨菊が豊ノ島のすくい投げに屈し、琴欧洲は嘉風に引き落とされ、ともに5勝2敗。稀勢の里は4勝目を挙げた。新小結の臥牙丸は初日を出した。勝ちっ放しの白鵬、鶴竜を1敗で把瑠都と平幕翔天狼が追う。十両は千代大龍と玉飛鳥が1敗でトップに並んだ。
勝負に没頭しているからこそ何があっても動じない。立ち合いで“くせ者”安美錦が左へ飛んだが、把瑠都は「思いっきりくるか、変化か、どっちかでしょ。自分がどう動くかだけ」と難なく対応。がっちりとつかまえると巨体を利し、盤石の寄りで圧倒。大関でただ一人、1敗をキープした。
「右を差した後は、相手に頭をつけられないように。まっ、良かったです」と納得の一番を笑顔で振り返った。
綱とりの重圧と連日格闘する大関に、この日朝、大阪府大東市の宿舎に同郷エストニアの“援軍”が現れた。関西外国語大で日本語を学ぶエストニア人留学生のソメラル・アンドラさん(21)。場所前にも訪問したが、その時は大関は不在だったためプレゼントと手紙を部屋関係者に託し、この日ようやく待望の対面となった。
「エストニアで把瑠都さんは、すごい有名人。とても親切で優しい方でした。相撲のルールや故郷の自然や料理についてお話ししました。ジャガイモとか野菜がお好きみたい」とアンドラさん。
今場所の成績次第で横綱昇進があることに「今は2番(大関)で、ヨコヅナは相撲の神様だと。ヨコヅナになってくれたら私もとてもうれしいです」と熱いエールを送った。
さらにこの日、会場に招待された被災地の子どもたちの中に「NHK福祉大相撲」で相撲をとったことがある第9代横綱、秀ノ山の子孫である小野寺大耀君(10)が来場していたことを聞いて「来てたの、あの子? 強かったね。またどこかで会えたらうれしいな」と目を細めた。
うれしい2人の来客にリフレッシュした把瑠都。綱とりはさらに加速しそうだ。 (竹尾和久)
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