故障者が相次いだグランパスは、ゲームの主導権を握れなかったことが、逆転負けを招いた。攻撃にアクセントをつける藤本、小川がいないという苦しい状況ではあったが、ボールを持っている時間帯が少なかった。
ボールを持った状況で、チームとしてパスコースを2つ、3つとつくり出せないと、ボールを奪われやすくなる。ケネディの高さはグランパスの武器の1つではあるが、ボールが来ると分かっていれば、相手につぶされるのも不思議ではない。永井の武器である速さにも同じことが言える。パスコースをつくって、相手の陣形に穴をあけたり、揺さぶる。チームとしての仕掛けがあれば、個々の速さ、強さ、うまさは、もっと生きてくるはずだ。
今のグランパスは、個々の能力で、優勝争いできるほどの戦力が整っている。ただグランパスは勝つだけではなく、観客がワクワクするようなプレーも求められるステージにきていると思う。チームとして徹底した部分を土台にしたうえで、個々の能力を上乗せできれば、もっと面白いチームになると思う。 (米山篤志)
▼米山篤志(よねやま・あつし) 1976(昭和51)年11月20日、宇都宮市生まれの35歳。桐蔭学園高から駒大に進み、4年時の1998年、V川崎(現東京V)入りしDFとして活躍。2007年から2年間、名古屋グランパスでプレー。昨年、現役引退し、今季から東京23FC(関東社会人2部)監督に就任。日本代表1試合。J1通算244試合14得点。
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