パリで始まったヨーロッパ最大級の書籍の見本市に、ノーベル賞作家の大江健三郎さんなど日本の著名な作家など20人が招かれ、東日本大震災が日本に何をもたらしたのかをテーマに語りました。
ことしの見本市では日本が特別招待国となっており、ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎さんや、若手の人気作家、綿矢りささんなど、日本の著名な作家など20人が招かれています。
初日の16日には大江健三郎さんと多和田葉子さんが「大震災」をテーマに対談し、会場にはおよそ200人が集まりました。
この中で大江さんは、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して、「原発は5年後、10年後ではなく、今すぐなくさないといけない」と原発廃止を訴えたうえで、事故後に福島県を訪れた際の思い出として、「避難所に暮らす人たちは、皆、生き生きとしていた。私はそういう人たちの役に立ちたい」と述べ、事故と向き合う人々に寄り添う気持ちを語りました。
一方、多和田さんは、「日本は過去にも地震や津波などの自然災害を乗り越えてきた。今回も乗り越えられると思うが、自然災害だけではない側面がある」と述べ、原発事故が人災によるものだとの見方を示し、みずから生み出した科学技術で追い詰められる人間の姿を、文学を通じて解き明かしたいと話しました。
また、関口涼子さんも、震災を受けて文学者として何を感じたかについて語り、「去年、出版した震災を巡る作品には、フランス人の読者から多くの反響が寄せられ、自分たちの問題として捉えてもらっていると感じた。今後も日本の現状を伝えていきたい」と話していました。
参加したフランス人女性は、「日本の現状や教訓から何を学ぶべきか、最もふさわしい人たちから話を聞くことができた」と話していました。
[関連リンク] |
|