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ナノ微粒子:大人より乳幼児の肺に沈着 米大が実験

 大人より乳幼児のほうが、ナノサイズ(ナノは10億分の1)の微粒子を肺の奥にとどめやすいことを、米ハーバード大の津田陽(あきら)さん(生体物理学)らがラットを使った実験で突き止め、12日付の米科学アカデミー紀要に発表した。ディーゼル車の排ガスに含まれる浮遊物質の多くがナノ粒子。乳幼児への大気汚染影響の軽減策が迫られそうだ。

 津田さんらは、直径20ナノメートルの放射性イリジウムの微粒子を作り、生後7日▽14日▽21日▽35日▽90日以上のラット各8匹に1時間吸わせ、酸素と二酸化炭素を交換する肺の組織「肺胞」に残ったナノ粒子の沈着率を調べた。

 その結果、肺胞ができた直後の生後21日のラット(体重70~80グラム)の沈着率が約5割と最も高く、生後90日以上の大人のラット(体重300グラム)の1.5倍以上あることが分かった。肺胞はブドウの房のような形をしていて、小さいほど内部で渦を巻いてナノ粒子を取り込みやすくなっていたという。

 人は1歳半~2歳ごろに肺胞ができあがるとされる。津田さんは「今後、肺胞にとどまったナノ粒子がどの程度、肝臓など他臓器に移るかを調べたい。また、ナノ粒子を使って薬を患部に届ける手段への応用にもつなげたい」と話す。【斎藤広子】

毎日新聞 2012年3月13日 23時29分(最終更新 3月13日 23時36分)

 

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