福島県南相馬市の市立病院が2月中旬、常勤医師30人を公募した。福島第1原発から23キロ。震災前に12人いた常勤医師が一時4人に減った。現在は10人に回復したが、被災者の健康管理や放射性物質による内部被ばく検診など業務も増えて、絶対的に不足しているのだという。
被災地はいま深刻な医師不足に陥っている。東北地方はもともと医師過疎の地域だったが、震災をきっかけに流出。医師向けの転職支援会社に勤める知人によると、福島県内には、首都圏などから3日間で数十万円というアルバイト医師を呼んでしのいでいる病院もあるという。
南相馬の病院担当者に聞くと、募集から1カ月がたつが、いまだに1人も決まっていない。被災地を支える医療の最前線から悲鳴が聞こえてくる。【井上俊樹】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2012年3月17日 地方版