九州新幹線久留米-筑後船小屋間で13日に起きた架線トラブルについて、JR九州は16日、原因に関する調査結果を発表した。運転士が列車への送電を止める「保護接地スイッチ」を押して車両上部の銅製金属板(5×50センチ)を立たせた際、架線から流れた高圧電流により金属板の一部とパンタグラフ側が溶着。スイッチが解除できなくなって復旧が遅れたという。
会見した青柳俊彦・鉄道事業本部長によると、金属板の溶着痕はいずれも直径約5ミリで、計3カ所で確認された。金属板が立つと電流が列車に流れず、地上へ逃げる仕組みになっており、下り線を走行していた「さくら557号」の運転士が架線に引っかかったビニールを見つけ、緊急停車するため保護接地スイッチを押していた。
金属板には溶着を防ぐために、グリスが塗られていたが、「グリスでは100%溶着を防ぐことはできない」という。溶着時に掛かった電圧は、2万5000ボルト前後だったとみられている。
青柳本部長は「今後はグリスの塗り方を工夫するなど、同様のトラブルができるだけ起きない方法を検討したい」と話した。
架線トラブルは13日午後4時ごろ発生。保護接地スイッチが解除できなくなったため、停車中に車両のバッテリーも低下。列車は自力走行ができなくなり、現場で約6時間半立ち往生した。【夫彰子】
毎日新聞 2012年3月17日 1時20分(最終更新 3月17日 1時36分)