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東日本大震災:被災地で捜索続ける特殊救難隊員の気持ち 「奇跡の救助」潜水士に聞く

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降下訓練にのぞむ小山さん=横浜海上防災基地で2011年9月11日、米田堅持撮影
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 東日本大震災から半年となった9月11日。海上保安庁の羽田特殊救難隊員(特救隊)の小山裕介さんは、厳しい訓練中に28歳の誕生日を迎えた。2009年10月には、伊豆諸島・八丈島(東京都八丈町)近海で転覆したキンメダイ漁船「第1幸福丸」(8人乗り、19トン)の船内から甲板員3人を奇跡的に救助した潜水士の1人でもある小山さんに、被災地での捜索や「第1幸福丸」の救出活動について聞いた。【米田堅持】

 震災当日の11年3月11日、小山さんは横浜海上防災基地(横浜市中区)で、機材の整備をしていた。基地の改修工事をしている作業員に「揺れているから作業をやめて」と大声で叫んだという。翌日から被災地へ派遣されることに。着替えを取りに宿舎へ向かうが、停電で信号が動かないこともあり、いつもなら車で15分の道のりが1時間以上もかかった。室内に大きな損害はなかったが水も出ず、妻の真由美さんが「こわい」と言いいながら懐中電灯を手にしていた。「差し迫った危険はない」。そう判断した小山さんは、被災地の救助活動へ向かった。

 巡視船「やしま」(5300トン)で福島沖へ向かった小山さんたちを待ち受けていたのは大量の漂流物だった。木材、コンテナ、船、そして家の一部も流れていた。テレビの映像で大災害が起きたことは分かっていたが改めて「いつもと違う、すごいことが起きた」と実感した。小山さんたちは、漂流物に人が取り残されていないか、ひとつひとつ時間をかけて捜した。「人がいなかった時はほっとする気持ちもあった」。多い時は1日に10件以上捜索した。寄港しても、周囲はがれきと廃車で埋まり被災した陸上施設は十分に使うことはできなかった。4月1日、自宅で宮城県の気仙沼沖で犬が救出されたニュースが報じられた。「命あるものを助けたいと思うのが救助活動をする者の本能」と特救隊の同僚たちの活躍に、「自分たちの活動の一端を少しでも知ってほしい」と思うとともに癒やされるのを感じたという。

 福岡市出身の小山さんは高校2年生の時、見学で乗船した巡視船「ちくぜん」(3100トン)からヘリからのつり上げ救助訓練を見て、人を助ける仕事をしたいと海上保安大学校(広島県呉市)を受験した。最初は不合格だったが、予備校に通って猛勉強。翌年に合格、海上保安官の道に入った。07年12月、潜水士が乗船している巡視船「いず」(3500トン)に希望通り配属され潜水士たちと一緒にトレーニングを積んだ。選考会や海保大での2カ月に及ぶ訓練の後、09年に潜水士となった。

 潜水士として初出動が、09年10月の転覆した「第1幸福丸」からの救出だった。「ここにいる。助けてくれ」。船底をたたいていた潜水士たちに救助を求める声が聞こえた。「いず」の潜水士6人に転覆船からの救助の経験はなかった。装備、経験で勝る特救隊を待つか、自分たちで救助するか。「長い時間、閉じ込められている。自分たちでできるならやろう」「この人たちを絶対に助け出そう」。そう決断し、小山さんたちは3人の男性を4日ぶりに無事救出した。「暗いところから出てきて、空を見ていたのが印象深かった」と語る。新聞やテレビで奇跡の救助と報じられ、小山さんらも記者会見した。「潜水士が会見することは想像がつかなかった」。会見では、特救隊出身の黒木喜年(のぶとし)船長が「転覆船が非常に安定した状態で、海象条件もそれほど悪くなかった」と当時の状況を説明している。

 その後、小山さんは「海保潜水士のトップになりたい」と、より高度な技術と厳しい訓練で知られる特救隊をめざした。訓練の仕上げで18時間かけて100キロを歩いた時は、体中が痛くてすべてにいらいらしたという。10年4月に特救隊の新人隊に入り、11月から本隊へ配属され事故で沈没した船の捜索にあたった。震災は初めての大災害での救助活動となった。

 「全体的に馬力が足りないと思うことがあるので、がむしゃらにトレーニングをしている」という小山さんは、特救隊としてはやや小柄な身長163センチ。本番以上に過酷な訓練に日々励んでいる。「今後はこれまでの知識を生かして多方面からものを見られるような海上保安官になりたい」と話す。

 2011年9月11日

 
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