また1968年2月19日に始まった実験中、ジョセフ氏は抗精神病薬プロリキシンの服用後にパーキンソン病のような震えが起こったため、エッジウッドの医師らは、ジョセフ氏に2種類のパーキンソン病治療薬を与えたという。エルスパマー氏は、ジョセフ氏のパーキンソン病とエッジウッドでジョセフ氏に投与された薬物との間に関連があると見ている。
集団訴訟では、医療手当の支給に加え、国防省と退役軍人省に対し、エッジウッドで勤務したすべての退役軍人を探し出し、彼らに投与された化学物質の詳細と今後起こりうる健康への影響を明らかにするよう求めている。
しかし、約7000人にいるエッジウッドの退役軍人のうち米政府がこれまでに連絡を取った人はごくわずかだ。また、退役軍人省はエッジウッド関連の健康被害の訴えの大半を却下してきたという。ジョセフ氏もエッジウッドでの任務に関連する医療給付は一切受けていない。
この件について、国防省は声明で、化学・生物物質にさらされたすべての退役軍人の特定を優先的に行っており、退役軍人省はこれまでに数千人の退役軍人に連絡を取り、無料の診察を提供したとしている。
米国ピッツバーグ在住の退役軍人ティム・ジョセフ氏(63)は、陸軍兵だった1968年にメリーランド州エッジウッドにある兵器庫に配属された。当時18歳だったジョセフ氏は、現地に到着するや否やその場所に違和感を覚えた。「軍事基地というより、病院のようだった」とジョセフ氏は振り返る。