名古屋グランパスが開幕2節にして早くも大きな試練に直面した。17日のFC東京戦に向けて最終調整した16日、故障中の主力MF藤本、小川、中村の3人が、21日のACLセントラルコースト戦(オーストラリア・ゴスフォード)と合わせた遠征メンバーに同行できなかった。ドラガン・ストイコビッチ監督(47)からは「難しいゲームになる」といつになく弱気な発言も。不安を抱えたまま、アウェー2連戦に挑む。
ギリギリまで復帰を待ち望んでいた3人の司令塔は、誰ひとり間に合わなかった。右ふくらはぎ肉離れの中村は覚悟していたが、右足首痛の藤本と右スネ打撲の小川も痛みが引かず、遠征同行を断念。前日15日に故障者の状況を直接チェックしたストイコビッチ監督は、「我々が直面している困難な状況を受け入れないといけない」と苦渋の表情で話した。
このため、中盤の布陣は大きく変わらざるをえない。MFダニルソンと組むボランチは、安定感のある吉村の起用が濃厚。トップ下は左足首痛を抱えるFW玉田が強行出場で務めそうだが、指揮官は「何日か前よりは良くなっているが、100パーセントではない。明日彼と話す」と慎重。そこでリザーブにこの日21歳の誕生日を迎えたMF田口を入れた。
さらに、前節右太ももを痛めたDF田中隼、慢性的な腰痛を抱えるFWケネディも万全ではない。故障者の続出で開幕ダッシュに失敗し、勝ち点1差で優勝を逃した昨季の悪夢がよみがえる。DF闘莉王は「またね、オレらがギュンッと行けないきっかけができたね」と嘆きつつ、「勝てばいい。何を言われても、勝ちゃあいい」と鼓舞した。
ピクシーもまた、自らに言い聞かせるかのように話した。「チームは問題を抱えている。FC東京は昇格後最初のホームゲームでモチベーションも高い。ただ、我々は白旗を揚げて東京に行くわけではない」。ゴスフォードへの長距離移動を挟み、25日ホーム新潟戦までの3連戦。野戦病院状態のチームにとって、早くも序盤戦のヤマ場がやってきた。 (宮崎厚志)
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