佐久市長土呂の協同組合「信州ミートパッカー」は15日、信州ハム(上田市)から委託されて同組合佐久加工センター(佐久市長土呂)で加工、出荷した牛肉の一部で、「県産黒毛和牛」ではない国産の牛肉に、県産黒毛和牛の個体識別番号を付けて出荷する不適正表示があったと発表した。牛の生産履歴を管理する牛肉トレーサビリティー法と日本農林規格(JAS)法違反の疑いがあるとして、関東農政局、県農政部が原因や流通先などを調べている。
行政による店頭での抜き打ち検査により、ラベルの個体識別番号と肉のDNAが一致しないことが発覚。2月中旬、信州ハムに指摘があった。同組合で調査したところ、牛肉の出荷担当の男性職員2人が、個体識別番号を付け替えていたことを認めたという。
同組合によると、本来、出荷担当職員は在庫調整や個体識別番号が入ったラベルを発行する作業はしないが、この2人は職務外の行為をした可能性がある。職員は「出荷に当たり、原料の肉が足りなかったため、欠品を避けるために行った」との趣旨の説明をしているという。
個体識別番号の付け替えが行われた期間や出荷量、出荷先などについて同組合は把握していないというが、職員は「昨年12月下旬からことし1月中旬までに数回やった」と話しているという。
同組合は2人の職員を出荷業務から外し、ラベルの発行者も限定するなどの措置を取ったという。同組合の小林佳憲専務理事は「信頼を回復するべく原点に戻った経営をしたい」としている。
県農業政策課も同日記者会見し、「消費者の食品表示に対する信頼を損ねかねない。大変遺憾だ」とした。同組合の出荷伝票などの書類が整っていないこともあり詳細が確認できておらず、調査を続けるとした。
同組合は1999年に設立し、翌年に佐久加工センターを稼働。信州ハムなどから肉の加工を受託している。