【ソウル=尾島島雄】韓国南部の釜山にある古里原発1号機で2月9日夜、すべての外部電源を12分間にわたり喪失した事故が波紋を広げている。原発側が情報を1カ月以上も公開せず、政府にも報告しなかったため、隠蔽体質への不信感が強まってきた。政府の原子力安全委員会は15日、当時の1号機発電所長を呼んで事故の経緯を問いただしたが、真相解明にはほど遠い状況だ。
韓国メディアによると、事故後に異動した前所長は原子力安全委の調査に「上層部には報告しなかった」と答えた。ただ、説明に信ぴょう性があるのかは不明だ。責任追及を恐れる現場が情報を握りつぶしたのか、事業者である韓国水力原子力に報告した上で発表しなかったのかが、現時点では明確になっていない。
原子力安全委は16日以降も調査を続ける。同社の組織ぐるみの隠蔽だったのかを解明するため、前所長以外の関係者にも事情聴取の対象を広げ、事実関係の把握に務める。
一方で、隠蔽が意図的だった可能性を示す事実が浮上し、世論の反発が強まり始めた。地元の市議会議員が先月20日ごろ、飲食店で隣の客から偶然、事故の話を聞き、今月上旬に原発側に問い合わせた。
しかし、市議への回答が無いまま、13日に原子力安全委が事実を発表。原発側は市議から指摘されたため慌てて安全委に報告し、公表に至ったとみられている。
古里1号機は韓国で最も古い原発で、1978年に商業運転を始めた。昨年4月にも、電気系統の故障で運転を一時止めたことがある。韓国では4カ所で合計21基の原発が稼働しているが、昨年の故障以来、地元では古い原発が稼働を続けることへの不安の声が高まっていた。
韓国は電力の原発依存率が3割程度で、さらに7基を着工済み。2009年末に韓国電力公社や斗山重工業などの企業連合がアラブ首長国連邦(UAE)の原発建設を受注して以来、輸出産業としても奨励している。
政府は原発傾斜を強めているが、韓国メディアは今回の事故を福島第1原発での日本の対応と比較しながら論じている。隠蔽体質との評価を払拭できなければ、反原発の世論が高まりかねない。
古里1号機では2月9日夜、電源機器の整備中に外部電源の供給が止まり、非常用のディーゼル発電機も作動しなかった。このため電源を12分間喪失。定期点検のため運転は停止中だったが、炉心の温度は高く冷却が必要な状態だった。
韓国、隠蔽体質、原子力安全委員会、韓国電力公社、斗山重工業
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