大阪府が鉄道などの交通網を環状型に整備する交通体系の見直し案をまとめたことが分かった。大阪モノレールは2050年の完成を目標に堺市まで延伸するほか、JR桜島線も大阪湾岸部の南港を経由し、長居駅(大阪市住吉区)までつなげることで「第2大阪環状線」と位置づける。鉄道環状網を充実させて周辺部の都市開発を促す狙い。3月末にまとめる都市構造の見直し案「グランドデザイン・大阪」の骨子案に盛り込み、府市統合本部で提案する。
構想案によると、大阪モノレールは南端の門真市駅から近畿自動車道に沿って南に延伸させ、荒本(東大阪市)、竜華(りゅうげ)都市拠点(八尾市)を経由。大和川南を西進し、南海堺駅まで延ばすルートを想定。西側も兵庫県と調整し、大阪空港駅から大阪国際(伊丹)空港の滑走路下をくぐって西に向かう延伸案も検討する。
一方、JR桜島線は終点の桜島駅(大阪市此花区)から大阪湾の地下を通り府咲洲(さきしま)庁舎(旧WTC、同市住之江区)付近や南港を経て長居駅に接続する延伸案を検討。長居駅からはJR阪和線に乗り入れ、天王寺駅までつなげ、大阪湾岸部を走り抜ける構想の実現を目指す。
更に近鉄大阪阿部野橋駅-南海難波駅間で検討しているLRT(次世代型路面電車)については、梅田など市中心部を走らせた上で、淀川を越えて新大阪駅まで貫く案も検討することにしている。
JR西日本広報部は「府から話を聞いておらず、コメントは控えたい。正式な話があれば、関係者の意見をよく聞いて対応したい」とコメント。大阪モノレールを運営する大阪高速鉄道総務課は「前向きに受け止めている。延伸が決まれば、利便性向上や沿線の街の発展に貢献したい」としている。【堀文彦】
毎日新聞 2012年3月15日 大阪夕刊